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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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マジェスティック・ガール.#1(6~8節まで)

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7.



 爆発したシャトルから放り出されて宇宙を漂流していたミミリは、
民間の貨物船に救助された。ドライバーに聞くと、
会社に帰る途中だと言うので、そこで構わないと答えた。
 貨物船は、星系内最遠のコロニー<ハナキリン>に到着した。
 
 ミミリは途方にくれた。通信端末も無い。お金もない。
プランタリアに連絡も付けられず、帰る手段もなかった。
 路銀を稼ぐため仕事を見つけようとしたものの、
やはり世の中そんなに甘くはない。
片っぱしから断られ、とうとう空腹のあまり行き倒れてしまった。
 そこに通りがかったのが、オハナ・ミナミという中年の女性だった。
彼女は、このコロニーの繁華街で安宿を経営する女将だった。
 オハナの伝手で、運送会社の倉庫整理の仕事を紹介してもらった。
ようやく初めての仕事をもらい、シャトルに乗る元手を稼ぐことができた。
 ミミリは、仕事をもらうためには自分を売り込むセールストークスキルと
交渉術を身につける必要があると実感した。
稼いだお金で、交渉術やビジネストークについて詳しく書かれた
新書を購入し勉強に励んだ。
人とのコミュニケーションや仕事場で、本で得た知識を実践し腕を磨いた。
 それからはとんとん拍子に事が進んだ。
交渉術の勉強をした甲斐もあって、順調に仕事にありつけた。
 各地のコロニーでバイトをしつつ路銀を稼ぎ、
プランタリアを目指そうと考えた。

 ある日、黒いスーツを着た大人達に声をかけられた。
『コロニーじゃぁ、マフィアが小さい子どもをさらって
よからぬ仕事をさせている』という
噂を、ミミリは大人たちが話しているのを思い出した。
ミミリは、彼らがそのマフィアだと確信し、一目散に逃げ出した。
以後、そうした連中には近づかないよう、見かけたらすぐに逃げようと心がけた。

 一日中働いて、帰ってきたら宿でシャワーを浴びて、
ご飯を食べて泥のように眠る。毎日その繰り返し。
 路銀が貯まったらシャトル便に乗り、お金を使いきらない程度に残し、
プランタリアに少しでも近いコロニーや小惑星都市へと向かう。
またそこで仕事をして――と。そんな地道なことを繰り返した。
そんなこんなで気がつけば、一年近い長旅になっていた。

* * *
 
 加えて、今回。
”またもやシャトル絡みだ”。

 やっとこさ、プランタリア行きのシャトルに乗れたというのに、
結局は宇宙を漂流する羽目になるというこの有り様。
絶望を通り越して、もはや笑うしか無い。

 もう、本当にどうでもよくなってきた。
 ミミリの口から、思わず乾いた笑いが出た。
「はは…。あ…あはははは…。はは……」