炉黒一琉の邂逅
「炉黒君は炉黒君らしく、馬鹿一直線でいいんじゃないかい?」
「どういう意味を込めて言ってるのかは分からないけどな」
「それはそうと炉黒君、鬼火ちゃんとライダーが遊んでいる間に今後について話し合おうじゃないか」
いつの間にか鬼火ちゃんとライダーは、アパートの玄関先で遊んでいたのを止め、路上へと繰り出していた。その様子からしてライダーも相当に鬼火ちゃんのことを気に入っているみたいだ。いつの間に変えたのか、静音マフラーに変更してあるアメリカンバイクの後ろに鬼火ちゃんを乗せ、ウイリーなどをして遊んでいた。
鬼火ちゃんもアメリカンバイクというよりも、バイクや車と言った乗り物に炉る事自体が初めてなのだろう。喜色満面でライダーのバイク捌きを楽しんでいる様子だ。
「ライダーのことか?」
確かに蜻蛉さんの言っている通りに、ライダーを含めて鬼火ちゃんのことを話しあった方がいいのかもしれない。
「いや二人の将来についてさ」
「僕はいつ蜻蛉さんと婚約したんだ?」
「――運命、俺はこの言葉自体に運命を感じたよ」
「ていうか、このやり取りいるかな」
ただ流れを遮るだけな気がするんだけどな。
「感嘆だよ、炉黒君。君からそんな的確な意見が出るなんてね。大人としての面目が丸潰れだよ」
「だったら何で会話を逸らしたんだよ!」
「最初から出会いやら別れについて語り合う重い話なんて読者が・・・・・・」
「だから皆まで言うな!」
「小説って何次元なのかな、炉黒君」
「てめぇぇぇえええええ」
「だってさ、考えてもみなよ。数学的には現実世界が俗に言う三次元と言われているだろ? X.y.z軸の三つの軸から成り立つ世界。これが縦横斜めの軸だ。だからアニメは二次元と言われているだろ? 縦横のx.y軸から構成されているからね。とうことは小説は何次元何だろうね。やっぱり文字という意味では二次元なのかい?」
流そう。
この話は本気で流そう。相手をしている気力もなければ知識もない。
「話を戻すよ、蜻蛉さん」
「釣れないねぇ、炉黒君。でもその判断力の高さには感嘆に値するよ」
「正直言って僕には怪奇現象や都市伝説と言った存在の知識は、蜻蛉さんに比べたら蟻と象よりも差があると思うんだ。だから、僕としては蜻蛉さんの提案に協力するという形がいいと思うんだ」
こういった複雑な話というよりも現象は、素人が下手に出しゃばるよりも専門家に任せた方がいい時だってあるのだ。蜻蛉さんならライダーのことも良くしてくれると思うってのもあるけれど。