炉黒一琉の邂逅
「そうだね、僕としては鬼火ちゃんとライダーはそんなに急ぐ気はないよ。時間をかけてじっくりと進めた方が俺としても助かるね」
「僕としては願ってもないことなんだけど、どうしてそう思うの?」
「炉黒君、君は俺を馬鹿にしているのかい? そんなの決まっているじゃないか。俺は二人の事が気に入っているんだよ。これ以上ないくらいにね。鬼火ちゃんだって炉黒君と同じで妹のように感じているし、ライダーだって話さなくてもいい奴ってのは分かるさ。だから、本当に自己中な考えだよ、こればっかりわ。先延ばしにすると言い換えてもいいだろうね」
やっぱり蜻蛉さんはいい人だ。蜻蛉さん自身ももしかしたら本当にそう言う気持ちがあるのかもしれないけど、大半は僕の事を思ってくれての事だろう。
僕に気を使ってくれたのだろう。
「ありがとう、蜻蛉さん」
「何に対して言っているんだい、炉黒君」
「本当に頭が上がらないよ、蜻蛉さん」
「くくく、まぁお礼を言われて悪い気はしないからね。そう言えば炉黒君。急で悪いんだけど、手伝いをお願いしたいんだ」
蜻蛉さんは何かを思い出したかのように言った。
蜻蛉さんが手伝ってほしいことがあると言うことは、また何かしらの現象が起きたのだろう。怪奇現象か、はたまた都市伝説か。
「分かった。今回は都市伝説? 怪奇現象?」
すると蜻蛉さんは不敵な笑みを浮かべながら口を開いた。