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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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マジェスティック・ガール.#1(9~14節まで)

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ヒューケインさんみたいに、熟女好きな殿方もいますから大丈夫ですよ」
 グサッ×3。
バキンッ。
凛の心にヒビが入り、砕ける音がした。
 「…あ。…ああっ……」
「うわぁっ!凛ッ、しっかりしろっ!」
心を打ち砕かれ、その場にヘナヘナと崩れ落ちた凛を、
ヒューケインは慌ててとっさにだき抱えた。
 「あれ?どうしたんですか、二人とも。ダンスの練習ですか?」
ミミリはそれを見て、悪意も底意もなく、あっけらかんとした表情で言った。
 ヒューケインと凛は、肩をプルプルと震わせて。
「話をややこしくするなよ、この天然ッ!さっきからとんだ失礼な奴だな。
うちのねえちゃん、ドSだけどな、こう見えても打たれ弱いんだぞ!」
「誰が、熟女だぁーー!失敬な、私はまだ17だぞぅ。ピチピチな少女なんだぞぅ!」
双方からツッコミが入った。凛は目頭に涙を浮かべ半泣きになっていた。

 収拾がつかなくなってきたこの状況を、
ヒューケインは仕切り直す意味で咳払いした。
「んんっ。ともかく、俺にはそんな特殊な性癖はないの。
普通の定義は元より、俺は普通の男性のように、普通の女性が好きなんだ。
はぁ…俺の言い方、わかりづらいかなぁ。それとも俺をからかってんの?」
 さすがのミミリも、ささくれだったヒューケインの態度を見てしまったと思った。
後ろでは凛が「熟女…。私は、熟女。熟れた女と書いて、熟女。はははは…」
となにやら沈んだ暗い表情でブチブチと呟いていた。
 「あ、いえ…スイマセン。そうですね誤解してました。
私、思い込みが激しくって。
失礼なこと言って、ほんとうにごめんなさい。凛さんも」
「まぁ、いいってことさ。俺も凛も(たぶん)気にしてねぇよ。
ミミリちゃんも、ああいうの嫌な年頃だもんな」

――どうやら、誤解は解けたようだ。
やれやれと、ヒューケインはテーブルに置いたコーラのスチールボトルを手に取って
やおら煽った。
『普通に会話をしたいだけなのに、なぜここまで拗れるのだろうか』
ヒューケインには、全く不思議でしょうがなかった。

 「分かりました、訂正します」
 「え?」
 「ヒューケインさんは熟女も好きだし、同い年も好きだし、
ロリも幼女も、おまけに実の姉や妹も全然行けるってことですよね…」
 「はい?」
話の雲行きが怪しくなっていくのをヒューケインは感じた。

 「つまり、女性という生き物が大好きなんですね!
うわぁ、いよいよ持ってストライクゾーンが全方位じゃないですかっ!」

 ブフゥーーーーッ!
ヒューケインは、盛大に口に含んだコーラを吹き出した。

 「女の子だったらなんでも構わないなんて、完全に変態じゃないですかッ!
ああっ!もしかしてお二人は、もうすでにアッチ系な関係で、
すでに出来ちゃってるんですか!?不潔ですぅーーー!
なんだかんだ言って仲いいですし、さっきもベタベタしてましたし。
うわぁ、近親相◯ですぅ〜、節操無さすぎですぅ。
そんなの間違ってます、絶対おかしいですよ―――!」

 ――誤解は全く解けていなかった。というか、やはり話が通じていなかった。
そして、さらに事態が悪化した。
ロリからペドを突き抜けて、マルチな年齢に通じた近親相◯の節操なしの変態に
レベルアップである。

 ミミリは間違いなく天才だった。
話をカオスな方向へ持っていく。

 「は…ははは…は」
これ以上は”勘弁”ならなかった。自分は愚か、
姉さえも侮辱されたのだ。
 ヒューケインは、乾いた笑いを漏らしつつスチールボトルを
握りつぶし、思い切り床に叩きつけた。
今まで紳士的に振る舞うことに務めていたが、さすがに我慢の限界だった。

 「だぁぁーーーらッ、ボケんのも大概にしろよ、この天然ッ!
いい加減、とっちめるぞこんクソガキがぁ!」
ヽ(#▼皿▼)ノ

 「うわぁぁぁん。怖いようッ!ヤンキーが怒ったぁぁーーー!」
→→εεε=ヽ(;@Д@)ノ

 ヒューケインの剣幕に身の危険を感じたミミリは、
飛ぶように走って逃げ出した。
「ヤンキーって言うんじゃねぇ、この天然120%娘ッ!
いや訂正するぜ、この腹黒娘。
てめぇ、本当は判っててわざとやってるだろ。待ちやがれッ」
「ウワァァァン。違いまよォォーーーぅ」
 この後、ヒューケインは逃げ惑い泣きじゃくる
ミミリを捕まえて、なだめるのに小三分程費やしたのであった。
 凛は、まだ心のダメージが癒えず
「じゅくじょー×2、じゅくじゅくじょー…♪」と
訳の分からない歌を、うつろな目で口ずさんでいた。