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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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マジェスティック・ガール.#1(9~14節まで)

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12.


 幕間劇2
〜intermedio〜

二人は仲良し
 
 「まぁ、真面目に言うとだな。AQUA-Sがアクトゥスゥ素子に
汚染されていないかスキャニングしてたんだよ」
ヒューケインは、凛が先ほど使っていたペンライトを取り出して見せた。
聞くに、アクトゥスゥ素子を検出するスキャンツールだという。
 「スーツが破損してて抗アクトゥスゥ因子含有液も漏れ出していたし、
念のために、な。天下のプランタリアに、アクトゥスゥ変異体が現れたと
あっては一大事なんでね。
ここの防疫管理体制を世間に疑われかねないし、色んな人の首も飛ぶ。
なにより、俺が『サンフラワー』に怒られる。あのババァ、怖ええんだよ。
気だるい低いテンションで、グサグサと心に突き刺さること言うし」
 「ともかく、そういう事だ。悪いが君が寝ている間に、
身体検査と洗浄のため、着衣を変えさせてもらった。事後承諾で申し訳ない」
 「所で皆さんも私も、なんで水着のままなのでしょうか?」
ミミリにとって、それは第二の疑問だった。
 「ああ。これは学園長の趣味だ。前々から
『いつか邸宅のプールサイドに沢山の水着美女を招きたい』と
仰っていたことがあってな。その願望を叶える為に秘書官の私まで
水着を着る羽目になった。完全なパワハラを兼ねたセクハラだな。
一回死ねばいいと思うぞ、あの変態紳士。あ、君の叔父上だったな、すまない」
 「あ、いえ。そ…そうですか」
厳粛な叔父にそんな願望があったとは意外だった。
 「それと、ヒューケイン。管理事務次官の悪口をさりげなく言うな。
上司に対して不敬だぞ。今度言ったら、コロニーの太陽光パネルに括りつけて、
燻製にするからな」
「ヒィイィッ!?」 
(凛さんも、さりげなく叔父様のこと、罵倒してましたよね…)
 青ざめ慄いたヒューケインだったが、すぐに平然を装い、
キザッぽく口元に人差し指を立てて
「…おっと。オフレコにしといてくれよ?」と、
ニヒルな調子で気取ってみせた。
 「貸一つだな」
それに対し、凛はヒューケインの顔を建てる気もないようで、
情け容赦なく、冷淡に言い放った。
 「マジかよ…ッ!今度は何奢らせる気だよ。
三点堂の三百グラムLサイズデミグラオムライスと
ジャンボチョコシューサンデーとか言うんじゃねぇだろうな。
それとも、バンデイの100/1HGデンドROビウムや、
エバァンゲリヨン初号機とかか…いっとくけど、もう今月金ねぇからな」
そういうヒューケインは、本当に切羽詰っている様子だった。
金銭的な意味で。
 「うむ、プラモデルは好きだがな。パーツがガッチリと
組み合わさるデジタルなところがいい。
でも、何かを買ってくれとは一言も言ってないぞ。
まぁ、思いついたら言うさ。ふふっ、せいぜい楽しみにしておいてくれ」
「あー…へいへい。了解だぜ、お姉様」
 抗弁の余地なし。
観念した様子でうな垂れる、ヒューケインだった。
 ミミリは、この二人のやりとりを見て、互いに気の通じ合った
良いコンビなのだなと思った。
二人も、自分とツツジのような関係なのかも知れない。
そういう間柄にある気安さや、相手に向ける信頼を言葉と態度から感じたのだ。

 「ふふふ。仲がよろしいんですね、おふたりとも」
ミミリとしては、感じたままのことを言ったつもりだった。
 「ははは。そう見えるんだったらきっと見間違いだぜ。
いつか、◯◯◯して×××してヒィヒィ言わしてやるぜ、
こんな憎らしいワカメ頭。頭固くて、融通利かないし。
人を痛めつけて喜ぶドSだし。成績学園二位の俺を、
やれバカだ、やれヤンキー呼ばわりするしよ。
ほんと、ミミリちゃんはバカだなぁ。このクソ天然お花畑め(ニコ☆キラ)」
白い歯を見せてニッコリと満面のスマイルを浮かべるヒューケイン。
正直ヒドイ言い草だった。
 「あぅあっ、身内を罵倒するついでに、さりげなく罵倒されました!
すごいドSっぷりです。やっぱり許してないですよね、さっきのこと。
本当に、スイマセンでした。いやぁ、学園二位とは恐れ入りますぅ、えへへー。
実は優秀な方だったんですね、ヒューケインさん。尊敬しちゃいます」
目を輝かせて、手のひら返したように褒めちぎるミミリ。
「まぁ、なぁに。大したことじゃねぇよ」と返す金髪ヤンキー。
 凛は顔をしかめて憮然と答えた。
「ああ、奴の言う通りだ。それは見間違いだミミリ君。誰があんなヤツ。
公然と上司の悪口言うし、無礼で無作法で、いい加減で適当だし。
キザでニヒルきどって、自分がカッコいいと勘違いしてるナルシーだし。
シスコンでキモイし。
それなのに何故か人望があるし、女子にモテるし。
全くもって理解に苦しむ。
どこがいいんだ、こんな『゛』野郎。いちいち鼻につくヤンキーだよ全く。
おまけに、頭いいくせに下品で、私を性的な目で見てるし。
ホント死ねばいいと思うぞこの『゛』」
(あ…。『゛』って二回いった)
「それに学園二位とは言っても、一位の私とは天と地の差があるんだぞ。
出来の悪い弟で本当にこまる」
 凛のほうが罵倒の文句が多いのは気のせいだろうか。
こちらも非道い言いようだ。
というかいつまでヒューケインを『゛』呼ばわりするのだか。
 「てめぇ、凛。言ってくれるじゃねぇかよ、俺の人気に嫉妬してるのか?
その前『プランタリアを守る学生マジェスター特集』で二人でテレビに出た時、
俺ばっかりインタビューされてたのがそんなに気に入らないのかな?」
やれやれと肩をすくめて言うヒューケイン。
 「ははは、馬鹿を言うな。私が嫉妬だと?面白い冗談だ。
私はそんなモノに全く興味がない。
俗物のお前と違ってな」
「へっ、よく言うぜ。その番組レコーダーに録画してたくせに」
「んなっ!き…貴様ぁーー。なぜソレを知っている…」
凛が、まさかといった表情でおののいた。
 「ヘイヘイ、お姉さま。俺の人徳と情報網を甘く見てもらっちゃあ困るなぁ。
堅物で人付き合いが苦手なお前とは違うんだよ俺は。柔和で社交的だからな」
「ぐぐぐ…。ふん!いちいちムカつく奴だ。やはり貴様とは気が合わん」
「そりゃぁ残念だな。俺もだぜ」
(あるぇ〜?) 
 なんでまたここまで罵り合うんだろう、この二人は。
仲がいいと思ったのは自分の思い違いだったのだろうか。

 「ま…またまた。喧嘩するほど仲が良いって言うじゃありませんか」
ミミリは額に冷や汗をかいて言った。
 凛は『はんっ』と捨て吐き、
「本当にそう言ってるなら、節穴すぎるぞミミリ君。
ホント、見る目がない上に
愚かすぎるほど鈍感だ。深海魚とナマケモノのほうがよっぽど目も気も利くぞ。
しょうがないか、私が熟女に見えるくらい眼が悪いようだし。
レーシック手術を薦めるぞ、このクソ失敬な鈍感ピンクめ。
いい眼科を知っているんだ、今度紹介しよう(キラ☆ニコ)」
 「凛さんもヒドイですッ!あぐぅ、凛さん…
さっきの根に持ってますよね絶対。
本当にスイマセンでした。今後あんな失礼は致しませんので、
どうか許してください」
誠申し訳なさそうに、深々と頭を垂れるミミリ。
 「気にするな、謙虚で素直なことは美徳だ。私は君が好きだぞ。それとヒューケイン」
「あん?」