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ますら・お
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novelistID. 17790
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シャルラロハート 第一幕「少女と騎士(ドール)」

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このままでは貫かれてしまうと思ったその矢先だった。



「目を閉じて!」



どこからともなく少女の声が飛んできた。それに従い、暁は目をギュッと瞑る。
直後に闇の向こうでボンと何かが炸裂する音と弱い衝撃を感じた。
目を開けると辺りには少し先さえも見えないほどの白煙が立ち込めている。微かに白煙にキラキラとした粉雪みたいなものが舞っている。
「こっちに来て!!」
煙の中から飛び出してきた手に右手を掴まれ、暁はそのまま引っ張られていく。
何が起こったのか把握は出来ないがどうも助かったようだ。
引っ張るその手はひんやりとしており、か細く小さいところを見ると暁の手を握っているのは子どもなのだろうか。
煙から出ると周りには石像の様なやつらは一匹もいなかった。
なんとか化け物どもの包囲網から上手く抜けることができたようだ。
「ハァハァ・・・・・・あ、ありがとうな」
暁は息を整えながら暁を助けた人物のいる方向を見る。
そこに立つのは外套を纏った少女。
人形の様な繊細な顔立ち、微かに赤みがかった黒い髪。それに不釣り合いな透き通りそうなほど白い肌を持っている。
今はフードは下ろしているがそれを被ったら今日見た夢に出てきた少女そのものだ。
「奴らが来る」
鋭い目つきで先ほど出てきた煙を見つめる少女。
「どうすればいい。逃げ切れるとは思わないが・・・・・・」
「戦う」
「は?武器も何もないんだぞ、どうしろってんだ」
「私と貴方でローゼを呼ぶの。そのために来たんだから」


―――ローゼ。


夢でコイツが言っていた単語。
「それでなんとかなるんだろうな?」
「大丈夫、足りない所は私がフォローする」
もうヤケクソだとつくづく思う。こんなところで死ぬのはまっぴらゴメンだ。どんな手を使ってでも生き延びるしかない。
そして、少女にはこの場を切り抜ける策がある、ならそれに乗るしかないということだ。
少女が口元で何かの呪文のようなものを唱え始める。
『・・・・・・の拘束を解除。稼働率一定値まで上昇。』
少女の周りに淡い光が渦巻き始めていく。
『限定的な条件化でのローゼの起動を確認。特例第13条によりゲートの強制開放を許可。』
光は一際大きくなり少女を包む。
「準備はいい?」
光の衣を纏い、輝く少女は右手をこちらに差し出す。
それと同時に響く咆哮。奴らがこっちに気づいたようだ。煙から化け物たちが飛び出してくる。
「もうどうにでもなりやがれ!!」
暁は少女の右手を強く握る。少女はそれを了承の証と受け取ったらしい。


『マスター確認。ローゼ、召喚』


視界が真っ白な光に支配された。
「これは?」
一番最初に感じたのは自分の身体の感覚がおかしいことだ。普段と違い何か力が滾ってくる様な感じに支配されている。
『来る!!』
そんな事に気を取られているとどこからか少女の声が飛んでくる。
それと同時に視界が白い世界から先ほどの元の世界に戻った。そして目の前には飛び掛る寸前の化け物だ。
マズいと思い、瞬間的な判断で敵を払うように右腕を動かすと、暁に飛び掛っていた化け物がおもちゃのように大きくはじけ飛ぶ。
「なんだ!?」
自分にそんな人外な力があるとでも言うのだろうか。自分の身体を見渡すことによってその疑問に更なる疑問が付加される。
今、自分の身体は衣服ではなく何かの鎧の様なものに包まれている。
一体これはどういうことなのだろう。
『どう?それが対アリオン用人型兵器ドールの力よ。今、貴方は私が前に仮想空間で見せたローゼというドールに同化してるの。本来の力はまだ引き出せないけどこれなら十分ね』
「なんとなくだが理解は出来た。それとさっきから声しか聞こえないがお前はどこにいるんだ?」
『安心して貴方の直ぐ傍よ。さあ、ローゼとなった今、貴方は誰にも無い大きな力を手に入れたわ』
「そしてこの力をもって俺が奴らを殺せってことか」
『そう、だけど今はそれ以外の手段は無いわ。後、拳だけで戦えとは言わないから剣を出しておくね』
右手に光が集まり剣の形を成す。光が晴れると現れたのは黒金の片刃の剣。
長さは1メートルは越える長身の剣。月光を浴びて鈍く輝く刀身は業物という言葉がお似合いだ。
使い方は良く分からないが振り回してればなんとかなるだろう。
『テキトーに振り回すのもどうかなっと思うんだけど?』
すかさず少女からのツッコミが入った。どうも自分の思考は少女に対しては筒抜けらしい。
「バレてる・・・・・・」
『剣の扱いとか習ってないの?』
「ない。ってか、そんなもん現代には必要性が微塵も感じられないんですが」
『・・・・・・。分かった、フォローするからそれに従って戦って』
「最初の間が気になるが助かる」
視線を前に向けると化け物達が集まり始めている。その数はざっと7体か。
「期待してるからには裏切らないでくれよ、ローゼ」
ローゼとなった暁は駆け出す。