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ますら・お
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novelistID. 17790
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シャルラロハート 第一幕「少女と騎士(ドール)」

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[4]

まさかこんなに時間がかかってしまうとは予想外だった。すっかり夜も更けてしまっている。昼間に聞いた話のことを考えるとちょっと怖いなと思いつつも家への道を急ぐ。
この時間帯になるといくら住宅街とはいえ、人通りが殆どゼロになってしまうため異様な静けさに包まれてしまうのが恐怖に拍車をかける。
課題にギリギリまで付き合ってくれた優華は先に帰るね、と言って帰ってしまったが途中まででも良かったから切り上げて一緒に帰れば良かったとつくづく思った。
帰り道は街灯に照らされてはいるが頼りなさすぎる。
「はぁ、この時間帯、一人で帰るのは中々厳しいなぁ」
ついため息混じりに愚痴が出てしまった。
そして自宅への近道の為に公園に入ったときのことだった。
ふと、前を見ると遠くに人が立っているのが見える。
ここには街灯も何も無いため良くは見えないが夜の散歩でもしているのではないのだろうか。そう思いつつ暁は歩みを進める。
「?」
異変に気づいたのはすぐだ。
人影に近づいていくほどその人影が本来あるべき人の形ではないことが確信に変わっていった。
安堂たちが昼間に言っていたことが脳内に再生される。夜に街中で化け物みたいなやつが人知れず徘徊しているという話だ。
心臓の鼓動が早くなっていくのが分かった。
どうしようかと思っていると雲の切れ間から冷たい月の光が差し込み始める。
「なんだよ、こいつ・・・・・・」
やはり人では無かった。
月光に照らされるのは異形の存在だ。その存在は歪で、石でできた不揃いな積み木をとにかく組み合わせて人型の石像を作っているかのような構成をしている。身体の所々から大きな石の棒が飛び出しているのが余計に不気味さを醸し出している。
見つめているとギギギギと嫌な音を立てて頭部らしきものがこちらを向く。顔には大きな紫水晶の様な怪しい輝きを放つ目が一つあるだけで口も耳も何も無い。
見た目など全て昼間の安堂の話の通りだ。冷や汗が背中に溜まっていくのが感じられた。身体がコイツはヤバいと危険信号を発している。
本能からの危険信号に従い、その場で回れ右をすると一気に暁は走り出した。
最悪な事に化け物もその後を追うように駆け出す。
真夜中の鬼ごっこの始まりだ。
逃走役は暁、鬼役はあの化け物だ。
「糞がっ!!」
悪態をつきつつ猛ダッシュで走る。
目の前に人影を確認一し、助けを求めようかと考えるが直ぐにそれを改めた。
人影も追ってきている化け物と“同じ奴”だったのだ。
マズいと思いつつも方向を変えようとするがそちらにも化け物がいる。まさかと思い、一度冷静になって周りを見渡すと他にも同じようなのが複数いることが確認できる。
これはどうも囲まれてしまったらしい。
逃げ道を塞いだ化け物たちは、ゆっくりと確実に規律の取れた動きでじりじりとその包囲網を狭める。
ある程度包囲網を狭めたところで、化け物の集団の内の暁の目の前にいる一体が右腕を前に突き出す。その腕は発光しながら一瞬のうちに鋭い刃物の形に変形していく。
そいつはギギギと嫌な音を立てながら槍を突き出すように構え、凄まじいスピードで突っ込んできた。