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ますら・お
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novelistID. 17790
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シャルラロハート 第一幕「少女と騎士(ドール)」

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元気な声と共に玄関から暁は出る。
眩しいほどの朝日が気持ちいい。今日も一日頑張るぞという気持ちになる。
暁の目先の門の前には一人の女性が待っていた。
肩にまでは付かないほどに短くまとめられた淡い栗色の髪を持ち、丹精の取れた顔立ち、瞳は大きく、唇はぷっくりとしている。
玄関から出てきたこちらを見ると女性は微笑を浮かべながら口を開く。
「暁、おはよう!」
「おはよう、優華」
いつもの優華と暁のやり取りだ。ここから暁達の毎日は始まるのである。
二人は大学への道をゆっくりと歩き出す。
「ん?今日はいつもより元気がなさそうね」
先ず口を開いたのは優華だった。どうもまだ顔色が良くなっていなかったようだ。
悪夢とはいえ殺されかけたのだから仕方ない気もしなくもないが、顔に出てしまっているのを感づかれたのは恥じるべき事だ。暁はすまんと最初に謝罪をつけると、寝ている間に夢で少女に会って、いきなり現れた騎士に殺されかけたことを話す。
「アハハ、何それ」
予想通り優華に笑われた。
暁からしてみれば本気で殺されるかと思い、冷や汗タラタラだったのだ。冷静に考えてみればそれは夢なのにここまで過剰に反応してるのはおかしいのかもしれない。
「と、とにかくだな。そんなことがあったんだよ。笑わないでくれ」
「ゴメンゴメン、悪夢程度でうなされるなんて暁らしくないなって思っちゃって」
「そうかな?」
「そう。アナタはいつもどんな悪夢でも笑い飛ばすくらいなのに、今日に限ってこんなに落ち込んでるなんて珍しいよ。それに夢なんだからそんなに気にしなくても大丈夫よ」
全くもって優華の言う通りだ。あれは夢なんだと自分に言い聞かせると少しは気分が楽になる。
「ほら、ニッコリ笑って。そうするとアナタらしくなるよ」
そう言うと優華は両手の人差し指を使って頬を吊り上げてニコッとした表情を作る。
可愛らしい仕草にちょっとドキっとしたが、彼女の優しさに心の固まっていた部分がほぐれていくのが分かる。
「ありがとうな。てか、思ったより電車の時間がヤバいな」
「あっ、ちょっと走らないとキツいかも」
二人は勢いよく駆け出した。