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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 大井弘子は首をかしげている。
 「馬鹿にならないのでしょう……費用のほうも」
 「たいしたことはないですよ。会社の費用ですし」 
 丸山花世は、そこで思った。
 ――こいつらは……っていうか、この会社は組織として相当まずいぞ!
 『自分の金じゃない、会社の金だ』と社員である市原は思い、そして、倉田という社長は『自分の金じゃない、グループの金だ』と思っている。まったくの無責任。真剣さの欠如。何かあれば、
 ――オレ達がいないと現場は回ってかねーんだよ。
 と居直って抵抗する。そういう組織が生き残れるのか?
 ――あんたねえ……。
  こんな程度の人物がゲーム部門のトップとは……だが。小娘はすぐに驚くことになる。それはつまり、
 ――市原はキンダーの残党の中ではまだまとも。
 そのことはすぐに明らかになる。
 「それにしても、遅いな……ちょっと、待っててください」
 市原はそう言い置いて会議室から出て行ってしまい、後には姉妹が残される。
 「なー、アネキ……。この会社って、どうなってんだろ?」
 「さあ……」
 「アネキ、さっき、雑誌にコメント云々っていってたじゃんか……」
 突然、思い出したようにして小娘は言った。姉は、確か、
 ――倒産をしたときに、コメントのようなものが出されたか。
 という質問をしていた。
 「あれね……キンダーの倒産について調べていたら、自分のブログで雑誌に対する不満を書いていた人がいたのね。『倒産したら、それまでのことは忘れて知らん顔かよ』って。その人は単なるファンの人みたいで。で、私も気になって聞いてみたの」
 「ふーん……」
 どいつもこいつも流れ作業で昨日のまま。彼らには感情というものはないのか。  
 やがて。市原は戻ってきた。出て行ったときには一人。戻って来たときは三人。二人のお供を連れて戻ってきたのであるが……。
 「……」
 市原のすぐ後ろにいるのはなまっちろい、やや太り気味の眼鏡をかけたオタク然とした男、その後ろにはこちらはやせぎすで四角い顔をした若造。二人はひどく不機嫌な様子で会議室の席についた。
 「えーと、プロデューサーの芝崎とディレクターの松木です」
 市原はそう言った。小太りのなまっちろい奴が芝崎。痩せた若造が松木。
 ――なんだこいつら……。