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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 「さて……だから、向こうに伝えてくれって。何か言いたいことがあるなら電話してくれって。直接何度でも『会社はつぶれました』って言うから」
 大井弘子はぼやくようにしていった。それは女主人にしては珍しい表情。
 「本当のこと言われて激昂って……三十八にもなって。しかも、それを気が狂った伝書鳩のように伝えてくる市原もどうかしてんよな」
 丸山花世は憎憎しげに下唇を突き出した。
 「いや、支えきれなくなったから間の討伐をうちらにやらせるっとことなのかな?」
 「さあ。考えがあるのか、それともただ単に依存心が強いだけなのか」
 大井弘子は言った。
 「間の野郎、電話、かけてくっかな?」
 丸山花世はちょっと楽しげに言った。姉は妹の問いにすぐに反応する。
 「こないでしょう。心の拗けた人だから」
 「そうだよな……」
 間が怒っているのは正論を言われたから。そして、自分の心の邪悪さを指摘されたから。
 「あの野郎、なんか、妙にかっこつけてて……斜に構えたビジュアル系のバンドみたいなんだよな。出来損ないのジャガイモみたいな面しやがって」
 丸山花世は呻いた。
 「いずれにせよ…もう一度、話し合いに行かなければならないわよね」
 姉は暗い表情で言った。
 「そうだね」
 妹も応じる。
 まさに風雲急を告ぐ。エターのまわり、全ての人を巻き込むようにして大風が起ころうとしていた。
 
 ○タイニー・エター シーン63 あかりの言葉 場所 海岸 時間 夕刻 ■一矢
//立ち絵 あかり
あかり「なんでかな……みんなを幸せにしたいと思うんだよなー。みんなをあったかい気持にしてあげたいと思うんだ」
恭介「……」
あかり「みんなが幸せになるように……そう生きてたいんだ。誰かの涙は見たくない。誰かの笑顔を見ていたい。でも、なんかうまくいかないんだよな」
 あかりはちょっとだけ傷ついている。
あかり「なんでかな。みんなもっと素直に生きれば良いのに。誰が偉いとか、誰が権力持ってるとか……」
あかり「歴史とかしがらみとか……そんなもの持ってたってちっともしあわせじゃないじゃんか」
恭介「……そうだね」
あかり「思い出は大事だよ。思い出は。でも、過去は過去だよ。過去のせいで今が幸せでないんだったら、そんな過去なんかいらないよ」