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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 「NRTという会社も……相当、台所事情苦しいみたいですし。自己資本率は低下するばかり。メーンバンクもないみたいですし、どういう会社なのか。監査法人が突然変わったりしてますし、これはネガティブなイメージしかありませんなあ……」
 親会社も苦しい。
 16CCは二期連続赤字。
 そして、社員のあの体たらく。
 「アネキ……」
 小娘は珍しく冷や汗をかいている。
 「……これは、ひょっとして、ひょっとすると」
 キャラが教えてくれる。この会社は危ないと――その言葉の通りになっている。
 そして。
 携帯電話が鳴った。
 大井弘子の携帯。
 主人は液晶を確認して、ちょっと顔を曇らせる。
 「市原さんよ」
 「あの悪人か……」
 毒づく妹を制して、姉は携帯に出る。
 「はい……あ、はい。そうです……そうですか……間さんが……はい」
 どうも……慶事ではないらしい。それは当たり前のことであるか。
 「……お腹立ちですか。分かりました。それでは、間さんにこちらに直接電話を寄越すように仰ってください。はい。そうです。この携帯の番号で結構です」
 「……」
 小娘も公認会計士も事の成り行きを見守っている。
 「ええ。仰りたい御用向きがあるならば……もしよろしければ、直接お会いして話をしてもいいですし。ええ……そうですか……そんなことを」
 大井弘子は続ける。
 「それで、大丈夫なのでしょうか。このまま……作品を続けていいのか。ちゃんとみなさんで考えてください。いえ、謝られましても……そういう問題ではないのです」
 女主人は顔をしかめている。どうも、あまり話の内容は芳しくないようで……。
 「それと……私たちのほうもいろいろと伺いたいことがありまして。はい。そちらにもう一度、来週ぐらいに伺おうと思っています。はい。そうしてください。いえ。じかにあってお尋ねしたいことがありますゆえ。はい。そうしてください……では」
 女主人は電話を切った。
 「なんだって?」
 「間さん。ひどく激昂しているんですって。あいつはオレ達が無能だと言いやがったって、社内で息巻いてるそうよ」
 「無能って……ホントのこと言って何が悪いの?」