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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 大井弘子の意見はスジが通っている。」
 「繰り返しになりますが、私は、名前については絶対に自分達の案を押し通したいと言うわけではありません。そうではなくて、ただ、皆さんの作り手としての気構えについて指摘しているとそういうことです」
 大井弘子はよどみが無い。一方、市原は何も言わない。ほかの男達も、正論を前にただふて腐れている。そして大井弘子は怯まない。
 「皆さんは作り手として見たとき非常に切羽詰った状況にあります。私達のように個人でやっている者の『製作者としての寿命』は『個人の寿命』とイコールです。どんなに能力の劣る作り手でも、個人の製作者は命が終わるまで作り手足りえるのです。ですが、みなさんのような社内クリエイターは会社の消滅がイコールでレッドカードです。お客さんの『あなたの作品はもう要りません』と言う声こそが倒産であり、破産なのです。会社の社長の病気などは、関係ありません。皆さん自身に対する退場命令、それが倒産なのです」
 大井弘子の言葉は低い。そして間正三郎は腕を組んで目を閉じている。反抗的な態度。きわめて不細工で小狡い抵抗。
 「で、あれば、皆さんは仲たがいをしている場合ではないのです。過去の行きがかりを捨てて、心をひとつに一丸とならないことにはこの苦境は乗り切ることができません」
 「そんなの関係ねえ」
 腕を組んだまま間正三郎が言った。
 「会社の内部のこととか、そんなの関係ねえだろ。だいたいなんでそんなことをてめえに言われなきゃいけねえんだよ。たかが外注に。オレだってな、三十八年間積み上げてきたもんがあんだよ!」
 「三十八年積み上げて、まだそれかよ」
 丸山花世が言い、その言葉に間は奥歯を噛んだ。
 「あんた、パクリヤローっていっつも2ちゃんねるに書き込まれてんじゃん。三十八年やった挙句にいただいたあだ名がパクリヤロー。何考えてんだよ」
 丸山花世は相手の心臓を一突きにし、露払いをした妹に代わって姉が続ける。