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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 言っても無駄。つまり、意趣返しをすることが芝崎たちの目的であるのだから、正論などは通じないのだ。わざとやっている。わざとサボタージュしている。で、あれば、理由などなんでもいいのだ。 ――とにかくてめーは気にいらねーんだよ。
 それが芝崎や間、越田の結論。
 もっとも……そこまでサボタージュをする意味があるのかは丸山花世にも分からない。そうするだけの利益があるのか。単なる自己満足にしては、やり口が手が込んでいる。
 否。倒産する会社の人気仙はその程度のものか。
 「分かりました」
 大井弘子は言った。市原は、
 「ああ、そうですか……」
 と曖昧に言った。使えないエグゼクティブは大井弘子が、
 ――皆さんの意見に従います。
 と、そういう意味で『分かりました』と発言したのだと勘違いをしていたのだ。だが、実際は違う。
 「申し上げますが、皆さんはいったい何を考えておられるのか。私には分かりかねます」
 「……」
 「ただ、こういうことははっきりと言えます。名前は作者の専権事項です。つまり、私と花世がそれで良いと言えば、それでいいのです。古かろうが新しかろうが、言いにくかろうが、そんなことはどうでもといいのです。私達がそれでいいと決めたのですから」
 「もちろん、皆さんには皆さんの言い分があるのでしょうし、私達も百パーセント自分の要望を押し通すつもりはないのです。それであれば、皆さんが先に名前を用意して来ればいいだけのことです。そうすれば問題もおきません」
 「適当に書き直せばいいだろうという意見は、これは私としては納得がいきませんし、妹もそうでしょう。それではたとえば、撮影にすでに入っている映画の主人公の名前を、突然変えろといわれてそうですかと納得する監督がいるのか。多分、そういうことはないでしょう」
 大井弘子の言葉を男達はむっとした様子で聞いている。
 彼らには反省であるとか自省という言葉はないのだ。
 「みなさんがどういう気持で名前の変更を求めてきたのかは知りませんし、私にも理解しかねます。ただ、ほかのソフトハウスの名前と同じだからということでヒロインキャラの名前の変更を求めてくるなどというのは、非常に志が低い」
 「ほかのソフトハウスだけじゃなくて……前作のキャラと名前がかぶるからってこともあんだよ」