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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 「それはみんなで、決めたことでして……」
 もの書きヤクザの剣幕に、越田は僅かに怯んでいる。そして丸山花世は叫んだ。
 「その、『みんな』の中に、私らは入ってないだろーが!」
 小娘は若いのだろう。そうではないのだ。
 越田たちは最初から大井弘子も丸山花世も除外することを決めていたのだ。意図的にそうやって外している。何のためか? それは……おそらく、自分達のほうが偉いのだということを見せ付けるためである。自分達がエター。朕は国家なりではなくて朕はエター也。わざと頭ごなしに決めて、自分の権威がどれほどのものかを見せ付ける。
 「そういうことで、こちらで決めた名前……変更しておきましたから」
 芝崎がしゃしゃり出てきて言った。
 それは一枚のペーパー。
 
 ×福田ありす → 扇町いりす 理由 ありすが大手メーカーソフトの名前とかぶるため。
 ×相川千織 → 相澤詩織 理由 言いにくい。
 ×平霧子 →国府津マリア 理由フランス人の娘らしくない。また、間が昔好きだった声優から。
 ×海老原忍 →大友麗音(レイン) 理由 名前が古臭い。
 ×安治夕子 →本村夕菜 理由 特になし。
 
 ×桝本亮→ 徳大寺通
 ×深谷俊介 → 栃本イッキ
 ×浅利豊夫 →このキャラは削除。
 
 つまり全キャラ変更。浅利に至っては、存在そのものが消されている!
 「なー、浅利、消されっちまってんじゃんか!」
 丸山花世は怒った。そして、間と越田は怯んでいる。
 まさか、小娘がここまで激昂するとは彼らも思っていなかったのだろう。と、いうか、自分達の権威、エターナル・ラブ≒スタッフの意見に外注の小娘が大反発を見せるとは彼らは最初から考えていなかったのだろう。
 ――オレ達がその気になれば、どいつもこいつも黙るんだ。社長も、重役も。だから、下請けの小娘に何が出来る! てめーはオレたちの言うこと聞いてりゃいいんだよ! オレたちが俺達の血肉こそがエターそのものなんだからよ!
 男達はそのように信じて疑っていなかったのだ。
 「っつーか、なんで、そういうことは作業がこんなに進むまで言わなかったんだ!」
 シナリオ作業は相当進んでいる。すでにキャラクター達は動き始めているのだ。ありすも、千織も。
 「おまえらなー……」