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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 大井弘子はさらりとこたえた。
 「ただ……一応申し上げておきますが、絵の方がシナリオにケチをつけると言うことは、私の側からも絵の側にケチをつけてもいいということになりますが、それでも構いませんね?」
 「……」
 大井弘子の言葉は、非常に重いものであった。
 「それで構わないのであれば、結構です。どうぞ。伺いましょう」
 大井弘子の発言は場の空気を気温にして三度ほど下げるものまであった。芝崎は歯噛みをし、越田は目を閉ざし、そして、間というチンピラは苦虫を潰したようにひどい顔を作った。
 「えーとそれでは……」
 市原は空気があまり読めていないのであろう。話を勝手に進めていく。
 「あ、いや、その前に……」
 市原は突然、何かを思い出したようにして言った。
 「えーと、キャラの名前なのですが……こちらのほうで変更しておきました」
 「はあ?」
 丸山花世は相手が何を言ったのか分からずに、素っ頓狂な声を上げた。
 「なんだって?」
 「ですから、キャラの名前ですが、こちらのほうで変更をしました」
 「……どういうことでしょうか?」
 「いや、ですから……」
 市原は口ごもり、そこでデブ越田がしゃしゃり出てくる。
 「えー、やっぱり、いろいろと問題がありまして」
 「問題とおっしゃいますと?」
 妹には分かるのだが……大井弘子は相当に腹を立てている。
 「まず、ありすですが……これは、エロゲー大手に同じ名前のソフトハウスがありまして……」
 越田は楽しげに言い、間が続ける。
 「ありすとかぶるので、これはNGということで……」
 越田は言う。
 「それから、ありすという名前は、カーテンコールで使われていたあさひというキャラと名前がかぶるので、NGとということで」
 「おいちょっと待て」
 丸山花世は喚いた。
 「なんじゃそりゃ?」
 小娘が突然席を立ったのに、男達は嫌な目をしている。
 「なんだよ、そりゃ。エロゲーのソフトハウスの名前とかぶるって……そんな理由があるか?」
 「……」
 「だいたい、なんだ、テメー、前の作品と名前が似てるからって……」
 「おなじ『あ』のつく名前ですから。そういうのは良くないと判断しました」
 越田は言い、そこで丸山花世は机を叩いて叫んだ。
 「誰が!」