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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 すると、芝崎はひどく卑屈な笑顔を作って言った。
 「それはもう、市原さんですよ……お金を管理しているのは市原エグゼクティブプロデューサーですから」
 涎を垂らす犬のごとき醜さ。あるいは……大井弘子たちが知らないだけで社内では、何がしかの暗闘があり、市原の側が巻き返しに成功したのか。もちろん、そういうことは、大井弘子の言わんとすることからはかけ離れている。
 姉が言いたいのは、
 ――それだったら、何故、いつも、待たせるのか。
 ということであるのだが……。
 ――こいつ何にも分かってねーな。
 丸山花世は芝崎次郎の血の巡りの悪さに激発寸前である。
 「ええと……それでは、ですね……」
 市原は言いかけ、そして、そこで丸山花世は言った。
 「なー。どうでもいいけど、イラストの人、同席させるの?」
 「え?」
 市原はなんともいえない微妙な顔を作った。
 「だからさー。そっちの二人の人は絵の人なわけでしょ? そういう人を連れてきていいの?」
 「越田も間もずっとエターに関わっていますし、今回はどうしても自分の口でいろいろとお二人に指示を出したいということでして……」
 越田も間はニヤニヤと笑い、芝崎は知らん顔をしている。
 ――そういうことか。
 小娘は理解している。つまり、それはこういうこと。
 ――芝崎、一人ではうちらには対抗できない。だから、芝崎が、越田と間の二人を引っ張り出してきたんだ!
 芝崎一人では、歴戦の大井弘子や狂犬丸山花世の連合軍に対抗しきれない。一人では無理。だから、イラストの連中を仲間に引き込み、共同戦線を張った。もちろん、越田と間にも何か思惑がある。それは、外注に対する力の誇示であり、市原に対する示威行為。さらには16CC上層部へのアピールもあるだろう。
 ――オレ達は、キンダーの残党偉いんや!
 というところを見せたいのだろう。加えて、提携先のブランへの威嚇もあるだろう。
 いずれにせよいえるのは、彼らはそれほどにはエターという作品に対して愛情などもっていない。すくなくとも作品への思いいれは自分達の我欲に比べてずっと優先順位は低いのだ。
 「とにかく、越田も間もお二人のシナリオについて、いろいろと文句というか、言いたいことがあるということでして……」
 市原は言った。
 「伺いましょう」