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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 「私は皆さんの側に立つつもりですが、相当厳しいことも言ってくると覚悟をしていただきたいって何言ってんだよな」
 小娘はすでに相当機嫌を悪くしている。
 そんな言い草があるのか。
 それは、脅しではないか。
 自分は部下のことを制御しきれない。何も出来ない。トラブルになったら、おまえらと現場で渡り合って何とかしろ。そういうことであろう。
 「なんつー昼行灯なんだよ」
 「そうじゃないのかも……」
 「?」
 「そうではなくて、市原という人間は相当、腹黒いのかも……」
 「どうして?」
 「私達と現場の人たちを噛み合わせ、そろって傷を負わせて、自分の社内での発言力を高めようとしている……」
 虎を競わせて自分が漁夫の利を得る。完全な悪である。
 「……程度悪ぃな」
 小娘は警戒するように呟いた。
 「っていうか……そんな社内抗争にかかりっきりになってるような会社……大丈夫なのか?」
 「……」
 大井弘子はちょっと苦い顔をしただけ。
 やがて。腹黒いリーダーに率いられた一段が戻ってくる。
 太り気味のなまっちろい芝崎。さらには、ヒネた面をした背の低い色黒のちんちくりん。そして、若干太り気味の、特に特徴のない中年男。素晴らしく立派な連中でもなければ、感銘を与える人物でもない。意気揚々と……何をそんなにいきがっているのか男達は自分たちの席についた。
 芝崎、デブ、ちんちくりんという具合にテーブルに座る。対面に大井弘子、丸山花世が座る。座長となる腹黒い市原は大井弘子の左手に座った。
 「それでは……はじめましょう」
 市原は言った。
 「まずは、紹介を。まず、越田。うちの原画です」
 紹介されたデブは軽く頭を下げだだけであった。
 「それから間」
 ちんちくりんのヒネ坊は何も言わなかった。
 「大井です。妹の……」
 「丸山です」
 小娘は言った。デブもちんちくりんも、ひどく、突っ張ったような嫌な感じのする人物である。尊大。傲慢。思いあがり。気負いとプライド。
 そして、大井弘子が言った。それは苦言であった。
 「失礼ですが、芝崎さん、エグゼクティブ・プロデューサーとプロデューサーはどちらが偉いのですか?」
 遠まわしに女主人は責めたのだ。
 ――おまえはいつも遅刻ばかり。何をやっているのか。