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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 「……ダメになっていく会社の匂いいがするわね」
 やがて、市原は紙コップを持って戻ってきたが、その時も一人であった。誰もやってこず、誰も出てこない。
 「ええと……今日は、うちのスタッフたちと会っていただくのですが……私は皆さんの側に立つつもりですが……相当厳しいことも言ってくると覚悟をしていただきたいというか……」
 市原はごにごにょと曖昧に言った。
 「間とか?」
 丸山花世はばさりと応じた。
 「ええ……まあ……」
 市原は部下の突き上げをまったく御すことが出来ないでいるらしい。誰も現場を統括できない。全員が市原のことを侮っている。そういう人間を責任者にすえると言うことで倉田という社長の頭は相当どうかしている。
 「ひとつ伺ってもいいですか?」
 大井弘子が言った。
 「ええと……なんでしょう」
 「御社の業績は……どうなっているのでしょうか?」
 「……業績と言いますと?」
 「そういうことです。きちんと会社として回って言っているのかということです」
 「……それは、そうですね。売り上げ的には厳しいというか……ゲーム、売れてませんからね、どこも……」
 「親会社のほうはどうですか?」
 大井弘子は……何かを掴んでいるのか。
 「えーと、その。ええ、まあ、映像部門は儲けているようですから……」
 大井弘子は強い視線を市原に送っている。
 「その……まあ、二期連続ということで……16CCも多少は苦労していますが……」
 「二期連続? 二期連続って何よ?」
 丸山花世は口を挟み、一方市原は口が重い。
 「……いや、その」
 そして大井弘子は追及の手を緩めた。
 「ところで……御社では、いつも、ディレクターやプロデューサーは、エグゼクティブプロデューサーである市原さんよりも現場に入るのが遅いのですね」
 「……」
 「部下がいつでも上司を待たせる……」
 「いや、まあ……松木は、今回は別のプロジェクトがあって、そちらに移ってるので……」
 「感心しませんね」
 上司も待たせる。来客も当然待たせる。
 どれだけ芝崎は偉大なのか――。
 「遅いな……何やってるんだ」
 市原はぶつぶつと言うと突然部屋から出て行った。その場の空気に持ちこたえきれなくなったのか。そして丸山花世は言った。