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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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あかり「みんなそうだよ。みんな夢があるとか言って、でも、へらへら笑ってよく考えたら無理だとか。無理だから大学行くとか……」
恭介「あかりは何になりたいの?」
あかり「んー? 私はアラブの石油王とかかな。あとはイギリスの女王陛下とか」
 聞かなきゃ良かった……。
あかり「なりたいものがたくさんあるんだよ。あれにもなりたい、これにもなってみたい……そうやって楽しく生きていたいんだ。それはやっぱり無理なことなのかな」
恭介「……」
 あかりは……みんなは笑うけれど本心からそう思っている。
 簡単に夢を曲げてへらへら笑っているのは……男らしくない。
 あまりにも自分を曲げる人間が多いから。
 笑って簡単に方向転換する浩平の変わり身の早さが、あかりにはズルさに思えるんだろう。僕もその気持、分かる。
 昨日までサッカー、サッカーって言い続けていた奴が、ある日を境に、
 『二十歳になったらもう馬鹿はできないよ』
 なんて言うんだ。でも……それは底の浅い人間ってことじゃないのか?、
あかり「キョースケはいいな。おまえはいつも夢が公務員で同じだから。きっとおまえは良い土木課係長になるぞ」//笑顔
恭介「……うれしくない褒め言葉ってあるんだね」
 っていうか……僕、公務員になりたいなんて一言も言ったことなくて……。
 それ、あかりのお母さんが、『三田君は公務員向きね』って言ったからそうなっただけじゃんか……。
 
 「こんなところか……」
 小娘は呟いた。
 少しずつでも作品を進める。シナリオでも小説でも地道な作業。それは遠い距離を歩く旅のようなもの。派手さもなく、賞賛もない。
 芝崎がホワイトボードの前で踊るようなスタンドプレーは実際の作業にはない。と、いうか、そういう踊りが好きならばダンサーになればよいこと。16CCの社員は多分、職選びを間違えている。 社長はアーティスト気取り。そこに出入りしているのはヤクザ物まがいのちんぴら。ちゃらちゃらした女優気取りの女共に、ピアスの似合うシャブ中業界人と踊るプロデューサー。
 丸山花世は思っている。
 それでもいいのだ。それでも。
 おかしな人間であっても全然構わない。
 ――実力があれば!