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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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ありす「先輩の縫製会社は資本金だけで一億円以上。年少は五十億。そんな会社、どうやって支えんのよ」
総太「えーと、それは……」
ありす「社員はぼんくらばっかり。変わんなきゃいけないのに全然変わろうとしない馬鹿ばっか」
ありす「昨日のままでいい。昨日のままがいい。で、社長は首括って、会社は火の車。そんな会社、どうにもなんないわよ」
ありす「十万二十万の話じゃないのよ。億のお金。倒産すれば、担保の土地も建物も工場もみんな持っていかれる。それが倒産ってことなのよ。それわかってる?」
総太「それは……うん」
ありす「簡単なことじゃないのよ。倒産って……」
総太「……でも、そうなったら霧子先輩」
ありす「霧子先輩のことは諦めなさい」//諭すように。
総太「……」
ありす「……もう、あんたの手に負えるレベルの問題じゃないのよ。総太。あんたにはどうすることもできないの」
総太「……」
 それはわかってる。
 ありす、わかってるんだよ。僕は一介の学生で。何のとりえも資力もなくて。
 でも……。
 このまま手をこまねいてはいられないよ。
 
 ただ文字を書く。
 ただキーを打ち続ける。
 文字はやがて川となり人生となる。それが物語。川の流れが寄り集まって作品に育っていく。それが面白い。それが楽しい。だから作品を作る。
 「霧子の父ちゃんの会社はイコールでキンダーだよね」
 妹は姉が書き残していった作品の欠片を眺めている。
 いつの間にか蝉の声は消えてなくなり。気がつけば虫の声。
 ただシナリオを書くだけで時は過ぎていく。
 隅田川湖の花火があって、江戸川。気がつけば東京湾の花火大会も終わってしまった。
 あっという間に九月。
 「また休みはシナリオ作業でつぶれたか……まーいいけど」
 小娘は呟いた。 
 姉の部屋で作業をし、時々は実家に戻って着替えて姉の部屋でまた作業をする。小娘の生活はきわめて単調。もっとも両親としてみれば問題行動を起こさないだけよほどまし、であったろう。少なくとも警察からの連絡の心配をしなくていいのだ。。
 「倒産、だよな……倒産。テーマは倒産」
 小娘は呟いた。そろそろ髪の毛を切りに行かなければならない時分であるか。ぼさぼさのショートヘアがおかしな具合になっている。