むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4
駄菓子屋にはいろいろなものが売っていた。飴とか。チョコレートとか、あとはゲームもあった。 あかりはどこにでも入り込んで、トラブルばかりを起こすのだけれど、結局、いろんな人に可愛がってもらうそんな子で。
駄菓子屋のおばあさんからもとても可愛がってもらっていた。
でも、ある日、駄菓子屋のおばあさんは倒れて。
それで亡くなってしまったんだ。
僕とあかりはちょうど臨海学校に行ってるときで。それで、戻ってきたら、お店は閉まっていた。
閉まったお店の扉が開くことはなかった。
何時行っても扉は閉まっていて。それでカーテンが下りていた。
//イベント絵 店先で座っている子供の頃のあかり
恭介「……帰ろう。もう、おばあさんいないんだよ」
あかり「……」
恭介「もう死んじゃったんだよ。おばあさん」
あかり「うん。わかってる……」
恭介「……」
あかり「……キョースケ。人は死んだらどうなるんだろーか」
恭介「それは……うん。分からないよ」
あかり「私も死ぬんだよなー。いつか……」
恭介「……」
あかり「死んだらどうなってしまうんだろうか?」
蝉の声がだんだん聞こえなくなっていく時分のことで。
秋の虫が鳴き出す頃のことで。
僕は、あかりの不思議そうな顔を今でもよく覚えている。
哀しいというわけでもないし、人生の不条理に怒っているわけでもない。
ただ不思議そうな顔。ただ、意味を理解しかねて首をかしげているあかりの顔。
そして、おばあさんがひとりでやっていた駄菓子屋さんは今ではマンションになっている。
○本家エター シーン51 校長室での会話 場所 校長室 時間 昼 ■花世
//立ち絵 校長
校長「平さんのご実家がそういうことに……つまり、お父様が自殺を図られたり、お仕事がうまく行ってないことは知っています」
総太「……」
校長「君が平さんのことをいろいろと気にかけていることも……私は知っていますよ」
この先生は……本当にすごい人だと思う。生徒のことはよく知っている。
生徒の事を見ていない先生も多い。でも、この人は違う。
校長「実は、平さんは退学届けを出しに来たのです」
総太「え? そうなのですか?」
そういうことはボクも聞いていない。
総太「本当ですか、それ……」
作品名:むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4 作家名:黄支亮