むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4
「そうだね。うん。そうだ……」
○本家エター シーン17 イベント絵 霧子の苦悩 場所 公園 時間 夜 ■花世
総太「……どうしたのですか?」
先輩はブランコに乗っている。
総太「何か……会社のほうであったのですか?」
俊介が言っていた。霧子先輩の実家のアパレル会社は大変なことになってるって。
中国からの安い製品がたくさん入ってきて倒産寸前になって。
それで、霧子先輩のお父さんは倒れてしまった……。
霧子「父が……父が倒れたことは知ってると思う」
総太「はい。伺いました」
霧子「心筋梗塞ということになっているが……本当は自殺未遂なんだ」
総太「……」
霧子「自宅で首を吊って。私が見つけたときは呼吸がなくて……」
総太「……」
霧子「もう……会社は滅茶苦茶で、手が施しようがなくて。だから……保険金で負債をなんとかしようとしたんだ」
総太「……そうだったのですか」
なんて言ったらいいんだろうか。
霧子「……」
総太「……それで社員の人はどういっておられるのですか?」
ボクは前に、霧子先輩が会社の人と話をしているのを見たことがある。嫌な感じのなまっちろい白豚のような人と痩せて、顔の四角い眼鏡の人。
二人ともすごく嫌な感じの人だった。
総太「ほら、前に会社で話をしていた……」
霧子「専務の芝崎と常務の松木か。彼らが何を考えるかはよく分からない。ただ……」
芝崎と松木。
そうか。あのデブと眼鏡、芝崎と松木って言うのか……。
総太「ただ?」
霧子「銀行の融資のこととかあるからな。連中は一刻も早く私に役員になるように言ってくるんだ」
自分たちが生き延びたいから……自分たちが行きは伸びたいから、社長のお嬢さんに役員を押し付けようとしている。
社長さんが首を括るような会社の役員。そんなものになったら霧子先輩、身包みはがされてしまう!
総太「……(あのデブめ……許せぬ)」
霧子「それと……あの二人は名前が……名前が気に入らないらしい」
総太「名前って? 何の名前すか??」
霧子「タイラという会社の名前が……どうも気に入らないみたいなんだ。社長が首を括ったような会社の社名はゲンが悪いとか」
総太「何ということを……」
長年、その禄を食んでおきながら、なんという言い草!
作品名:むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4 作家名:黄支亮