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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編4

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 「なんでしょう?」
 「この作品にずっとまで穂積丈というキャラを出しているんですよね……」
 穂積丈。確かに、エターナル・ラブにはそのようなキャラが必ず出てくる。ある意味、エターの本当の主人公は彼であるのか。あるいは、主人公の友人として、先輩として、おせっかいな相棒として。主人公のキャラは一作ごとに消えていくし、ヒロインもまた同じ。ただ穂積だけが何度も現れる。
 市原は言った。
 「穂積丈を今作も出して欲しいのです」
 市原は穂積というキャラに愛着がある――あるいは自分の分身として穂積を見ているのか。だが。
 「丈はいらねーよ!」
 白豚のごとき不細工芝崎がまたも激発した。
 「あんなのもういいんだよ! 何回出てくりゃ気が済むんだ!」
 松木も続ける。
 「あれはもういいですよ。丈は……」
 「いや、穂積丈はいるでしょう……」
 市原は譲らない。そこでイライラした小娘が言った。
 「どっちなんだよ」
 「穂積は出してください……できますよね?」
 「ええ……シナリオは書き始めたばかりですし」
 大井弘子が珍しくうるさそうに言った。
 「ではそういうことでお願いします」
 市原は先ほど芝崎たちを御しきれなかった鬱屈があるのか意固地になって我を通した。そして押し切られた芝崎は机の上に突っ伏すようにして、
 「いらねーよ、なー、穂積なんて、いらねーんだよ、なあ!」
 と、喚きはじめる。
 自分の意見が通らずぶんむくれて机の上で転げまわる。その様子は、まるで暴れる痴呆老人のよう。さすがの丸山花世も疲れ果てている。
 ――こいつ……おつむに障害でもあんじゃねーの?
 はっきり言えば精神疾患。キンダーの残党は本当にろくな奴がいない。というか、そういう奴らばかりだから潰れたのか。
 ――三神のにーちゃんも変な奴だけれど、あれはあれできちんとスジ通ってる。けれど、こいつは、本当に人間のクズだぞ……。
 使える人間、愛される人間はブランに救済され、使えない人間、不快な人間は16CCに直行。要するに、そこは掃き溜め、であるのか。
 「……ほかには?」
 呆れて苦い顔の丸山花世に対して、姉のほうは、視線が鋭い。大井弘子の目には男達の内側の内側までが見透かされているのに違いない。
 「ほかには? 何かないのか?」