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灰かぶり王子~男女逆転シンデレラブストーリー~

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 一方その頃ミッディール邸。
「…オネーサマ?これは一体ナンなんですか?」
「何…って、ドレスだけど?」
「んなこた言われなくたってわかってんだよ」
 アールイは今、真っ赤なドレスを着ていた。というよりも、着せられていたという方が正しい。
「私とあなたって服のサイズおんなじだから」
「理由になってねぇし、さすがに胸囲は違うだろ」
 義姉の言い訳もおかしかったが、アールイの突っ込みも少しばかりズレていた。
「というかあんたこんなドレス持ってたか?」
「仕立屋に頼んだのよ。舞踏会に着て行くの」
「……仕事早ぇな仕立屋」
「当たり前じゃない。プロだもの」
 そういう問題でもない気がするが、アールイは早く脱いでいいだろうか、などと考えながら赤いフリルを見つめた。
――ん?
 何か違和を感じ、口を開こうとした瞬間。
「そ・こ・で、本題」
 義姉の、楽しそうな声がした。
「…本題だア?あんた俺にこんな物着せといてまだ何かさせる、ってのか」
「このドレスに合う真っ赤な薔薇のコサージュを作って頂戴」
「はぁア!?」
アールイの叫び声が、屋敷中に響き渡った。まだ夜も明けきらない早朝、鶏の甲高い鳴き声がアリアスに響き渡る。
「ったく、何で俺がこんなこと…」
アールイは結局、コサージュを作る羽目になってしまった。舞踏会まで、あと2週間を数えるばかりである。
……………

 1人の男が薄暗く埃っぽい、城の図書館で調べ物をしていた。
「あー…クソ!!どういうことだ!!?」
 頭を掻きむしる男の年の頃は、10代後半といったところであろうか。髪は茶色く短い。服装はというと、図書館にはどう足掻いても合わないであろう甲冑を着けている。
 彼が読んでいるのは、分厚いシャイン大陸の歴史書であった。
二つ穴が開けられ紐で綴じられた相当古いであろうその書物は、毎年少しずつ重さを増していく。