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灰かぶり王子~男女逆転シンデレラブストーリー~

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 しかし兄は幼い頃から暗い部屋に閉じ込められ、外国語の勉強や、ペテロアーヌ王国の地理や歴史について勉強させられていた。曜日によって違う家庭教師が毎日代わる代わるやってきては色々なことを教える。
 しかし兄は自由なセイルを羨むこともなく、誰にも分け隔てなく優しかった。文句も言わずいつもニコニコ笑っていた。勉強が終わると家庭教師から聞いた面白い話をセイルに聞かせてくれた。兄はその性格が功を奏し、とても人徳のある人だった。
そんなある日、兄は亡くなった。暗殺されたのだ。平和な日々が続いていたから、誰も警戒していなかった。
 自室の窓を開けて、その下の中庭にいるセイルに笑いかけた。そしていつものようにセイルがニパッ、と笑って。
 次の瞬間。
――ドサッ、
『きゃあ!!』
 左胸に細い棒状の“異物”が刺さり、白いブラウスを赤く染めた兄が3階の窓から落ちてきた。セイルが8歳、兄が14歳のときだった。
 矢じりには即効性の毒が塗ってあり、そうでなくとも矢は心臓に刺さっていたのでほぼ即死だった。刺客がかなりの腕前であることは確かだった。
 結局犯人も、ペテロアーヌ王国の次期王を殺すように仕向けた勢力も分からずじまいなのであった。
 セイルはいつか兄暗殺の真相にたどり着き、暗殺に関わった人間全てを晒し首にすることを胸に誓った。