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小太郎の飛行機旅行

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9月22日 木曜日


 身の回り品と小太郎の必需品を入れたリュックザックを背負い、午後1時に家を出た。
 幸い曇り空で、小太郎を連れて歩くにはよかった。
 家から伊丹空港まで車では4キロメートルほどだが、歩きでは路地を通って1キロメートル以上短縮できる。
 空港ロビーでは、犬を連れて歩きまわることはためらわれ、すぐに預ける手続きをとった。
 警戒もせず、すんなりとケージに入った。

 14時50分発の小型飛行機はエンジン音高らかに飛び立った。雷でさえ怖がる小太郎のことは気になったが、持参した本に目を落とす。揺れがひどくて、目を閉じた。

 16時過ぎに仙台空港に到着。
 荷物を受け取っている間に
「おとなしい犬ですね」
と言いつつ、係官がケージを運んできた。
 小太郎は腰を抜かしていた。ケージの扉が開くと、腹ばいになったままいざり出て一目散に出口へと向かった。

 待てども待てども車はこない。到着時間は分かっているのだから、先に来て待っているものだと思っていたのだが。
 携帯電話を持たない主義の私は公衆電話を探した。建物内にあるのを見つけたが、犬を連れては入れない。
 外で待ち続けた。
 この地の夕暮れは早い。80分待ってようやく捉えた、見覚えのある、点灯して近づく車影。
 言い訳を聞きつつ車に乗り込んだ。私の口封じのため食事できるところを求め、そしてお腹を満たした私は、助手席で眠りに落ちた。

 外は雨。
 宮城県の、岩手県と秋田県との境に位置する栗駒高原オートキャンプ場に到着したのは20時40分。スタッフの方は心配して一度電話をしてくれ、待っていてくれた。本日の利用者は、私たちだけであった。
 キャンプ場には温泉浴場があり、そこで寝ることを勧めてくれた。
 小太郎は屋根の下に繋ぎ、温かい湯でくつろいで女子脱衣場で寝た。
 
 夫は当然男子脱衣場で、ある。
作品名:小太郎の飛行機旅行 作家名:健忘真実