神社奇譚 2-0 神の子
と、説教めいた事を言うと、泣き出してしまう夫婦もいるぐらいで。
なかなか感動的な話があるのだが、
この話を七五三でやるとちょいと困ってしまう。
綺麗に着飾った子供達の前で、宮司は挨拶をする。
いままでキミたちは神社の考え方ではまだ、
おとうさんおかあさんのお子さんではなかったんだ。
お父様お母様の下に神様の子として授けられ
大事に大事に育てられてきましたが、
今日、元気に七五三のお祝いの日を迎えられまして、
いよいよお父様お母様のお子様として、
育てられていくことになります、と。
そんな宮司の言葉に、両親たちは、そして祖父母たちは
これまでの日々を思い返して、
我が子我が孫が、よくぞここまで育ってくれた、と
神恩に改めて感謝し、着飾った子供を見るのだが。
ある5歳の少年は顔をクシャクシャにして云った。
「チェっ!とうちゃんの子供よりか神様の子供の方が全然いいじゃん」と。
作品名:神社奇譚 2-0 神の子 作家名:平岩隆