マトリョシカ
9
コーヒーを啜り一息入れる。
「後は、私見だけのはずなんだけどなぁ……キャラが勝手に動き過ぎる」
BGM代わりにしていたテレビのチャンネルをかえる。
画面をもう一度見直す。
液晶の向こう側では、主人公が法定物の演劇を書きながら、テンション高めにだいぶ参っている。
「私見は判例準拠で、情状酌量が妥当だろうなぁ」
呟きながら、台詞を打ち込む。
これで、一応判例の解決だけはできた。
しかし、読者が望むような劇的なオチというものではない。そう、インパクトがないのだ。
これでは、メールで指摘があった押しの弱い状態のままだ。
早急にテコ入れの必要がある。