マトリョシカ
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ゼミ室。
学生A 一応の形にはなりましたけど、ちょっと最後まとまってないんで、他のゼミ生にも問題を振るって形でいいですかね?
客席を示しながら同意を得るポーズ。暗転。
教授B 面白そうだから認めるけど、ちゃんと問題提起出来てなかったら、来週再発表だからね?
暗転。
学生A えぇ。じゃあ、発表しますよ?
プロジェクターで事件概要を投影。
学生A 本件は、勘違い外国人が起こした事例で……
学生Aの語りが長いかな?
合いの手代わりに途中で、教授Bに話させるか。所々に、教授Bの台詞を書き加える。
教授B 今の学説もう少し説明できる?
教授B コマンド的に? ゲームのやり過ぎじゃない?
突っ込むとこは、ちゃんと突っ込まなきゃなー。セクハラじゃないぞ? さて、発表もそろそろ終盤に差し掛かってきた。事件概要の報告が終了し、学説・判例を紹介した。最後に、自説の展開←今ここ。
「正直なとこ、教授Bに『ゲーム的発想の禁止』的な事を言われてるってか、言わせたしなぁ。当初の予定から、だいぶ離れちゃった気がしないでもないなぁ」
そりゃ、真面目に法律やっている人に、昇竜拳のコマンドは、「623+P」で暴発の可能性はありますが、めっちゃ殴る気満々です。逆に、竜巻旋風脚は、「421+K」は、逃げ腰で、牽制のつもりが暴発して、と言い訳して……
ゲーム的な発想はここでお仕舞い。ちゃんと、風呂敷を畳もうぜ? 俺たちの冒険はこれからだエンドは流石に物投げられてもしょうがないレベルだし。
そんなわけで、真面目にこの先のストーリーを考える為に、ボリュームを上げたBGMを流しながら、お湯を沸かす。
コーヒーばかりで、若干飽きがきてる。冬場だし、ココアとか有りだよなぁ。砂糖を大さじいっぱい入れて、練り始める。なかなか、溶けない。こういう時だけ、ちゃんと理科の勉強しておけばよかったな、と思う。