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マトリョシカ

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 7

 頭をデスクの角にぶつけた。あまりの痛さに、目が覚める。腕を伸ばしあるはずの目覚し時計を探す。
「案外いい時間だな」
 ガッチリ掴んだ時計は、昼を指す。
 パソコンを立ち上げ、メールをチェックする。
 返信が一通。差出人は友人。タイトルは、『読んだ』。本文は、『これじゃ何がしたいのかわからない』や『ミステリなのに事件が起きてないよな?』とか、『主人公が劇を書いてるのしかわからん。何がしたいんだ』など、中々厳しい意見ばかりだ。
 メールを送り返す。事件=勘違い騎士道事件。ОK? 送信。
 ため息を一つ。
 ここで言う事件とは、ハプニングやイベントという意味でなく、過去に起きた事件という事件であり、その判断がどうして下されたかという思考プロセスを読むものであって、殺人事件に巻き込まれるという事では無い。
「押しが弱いってことか。テコ入れするべき?」
 進みそうに無い場面の演出は後にして、判例の考察を補強してく。
 問題はこの勘違い路上闘士事件(仮称)を、どう扱うかだ。
「表記の一部を変えただけで、全く同じ事件とするか。それとも、別事件として扱うか」
 散々ゲームみたいに扱ってきたのだから、指針は決まっているも同然だが問題は論点だ。オリジナルの事件では、竜巻旋風脚が誤想防衛と認められた。これが、昇竜拳に変わっても誤想防衛が適用されるだろうか?
「コマンド的に?」
(問題はそこか?)
 若干の脚色により、学説や事件の本質というものに変化があるのだろうか?
 しかし、そこは読み物としての御愛嬌の範囲だろう。
 テキストファイルを立ち上げる。
「どこまで書いたっけかな?」
 数ページ程読み直す。
作品名:マトリョシカ 作家名:浅日一