マトリョシカ
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いざ寝ようとした時に限って、「これはいける」というネタが思いつく事が多い。お風呂やトイレに入っている時もそうだけど、そういう時に限って良いアイディアを思いつく。
「絶対面白くなるはずなんだけどなぁ」
インスタントコーヒーを何時もの三倍カップの中に入れ、湯が沸くのを待つ。
「もう、覚えてない」
ため息を一つ。朝になってから資料を探す事を決める。探しているうちに、きっと思い出すだろう。そう、淡い期待を抱きながらコーヒーを啜る。
「当分眠れそうにないな」
パソコンを立ち上げなおす。判例くらいならネットでも検索できるはずだ。
「うん、見通しが甘かった」
教えてもらった時は、学校のパソコンからで気付かなかったが、第一法規は会員制だった。参ったな。
カーテンを少し開けて外を見るが、暗い。やはり朝まで何もする事がないのかも知れない。
残りのコーヒーを飲んで、適当なサイトを検索し始める。