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無題Ⅰ~異形と地下遺跡の街~

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「さっきのは、いったい・・・・」

夢の中からいきなり現実に引き戻されたような不思議な感覚に、鬨は必死で頭の中を落ち着けようとする。よく考えれば、なぜあの部屋であんなに冷静で居られたのか。
何が起こったかもわかっていないが、とにかく収穫はあったと言っていいのだろうか?
わからない。
とにかく、わからないことだらけだ。

あの部屋は何?この本は何故隠されていた?いったい誰が、何のために?
わからない。
混乱したままの頭で問答を繰り返す。

とにかく、落ち着かなければ。そうしないと何も始まらない。

その考えに行きついた鬨は、とりあえず深呼吸をしてみることにする。
そうして何度もゆっくりと呼吸を繰り返すうち、頭の中が冷えていくのがわかった。

「・・・・よし」

小さくそう呟いて、今度こそ頭の中でいままでの整理を試みる。

まず、あの本棚。
今目の前に無いという事は、一回きりの限定された魔法だった可能性が高いだろう。
あの部屋は、この本を保管するためのものだったと考えればいい。
いったい誰がどんな理由でこの本にあんな仕掛けをしたのかは解らないままだが、それもこの本を読んでみればわかるかもしれない。

(とにかく、読んでみないことにはなんとも言えないか・・・)

そう思い、一先ず表紙を開けてみた。

「・・・・っと?」

開けたところに何かが挟まっており、それが落ちそうになったが、なんとか防いだ。
裏返しになっているので解らないが、写真か何かだろうか?
茶色くシミが出来ていたり端がよれてボロボロになっていたりしているが、この本があそこに仕舞われた時からこの本に挟まれていたなら、状態はよすぎるほどだろう。
それを不思議に思いながらもそれを裏返す。

そして、写っていた人物を確認した瞬間、衝撃で本を落としそうになった。
目を見開いてその写真を注視する。
間違いであってほしいと思ったが、そこにあるものは変わらない。

「なんで・・・」

そこに写っていたのは、優しく笑っている男と、もう一人。

「なんでお前が写ってるんだ・・・・!?」


ヴェクサが、写っていた。