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無題Ⅰ~異形と地下遺跡の街~

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Episode.17 衝撃



「ところで、なんで地下なんだ」

まだ肝心なところを聞いてなかったことを思い出した鬨は、前を行くヴェクサに話しかける。

「ン?あぁ・・・言ってなかったか?」
「まったく聞いていない」

「すまンすまン」と謝るヴェクサから、反省の色はうかがえない。

「前に、話しただろ。この街にある「話」のこと。それに似てると思ってな」

たしかに、話の中で村人が一人二人と消えていく描写があった。
しかし、それが今回のことにどう繋がっているのか、まだわからない。

「俺はな、話に出てくる「少年」はここで造られてる「あれ」なンじゃねーかって思ってる。だから、今回のことにも何か関係してるンじゃねーかと思った。いくら高い「技術」で作られたものでも、いつかはボロがでてくるだろ?」
「火が無いところに煙は立たぬ・・・と?」
「そういうこと」

ヴェクサは、ぱちん、と指を鳴らしながら、片目をつぶって見せる。

「なら、まずはあの研究所・・・って事になるな」
「そうだな・・・じゃあ、俺がそこだけ確認してくる。鬨、お前は地下に入る前の扉の前で待機しといてくれ。一時間たっても俺が返ってこなかったら・・・その時は頼む」
「・・・・わかった」

ヴェクサなりの気遣いなのだろう。ありがたく受け取ることにした。
それに、たとえヴェクサがそう言わなくても自分で言っていた。
あんな状態になるようでは、足手まといになることがわかりきっている。
反対に、「あれ」にさえ会わなければいいのだから、ここは一旦ヴェクサを待つのが一番いい策だろう。

「じゃ、行ってくるな」

そう言って早足で階段を下りていくヴェクサの後姿は、あっという間に闇の中に消えた。

「さて・・・」

俺は、自分に今できることをするとしよう。

大量にある本棚の一つに歩み寄り、目を通していく。
幸いにも、ここには大量の情報がある。本を早く読むのは得意分野だ。

「腕が鳴るな・・・」

大量の本を見回して、一つ、溜息をついた。