無題Ⅰ~異形と地下遺跡の街~
数時間後――
「どうだった」
「あぁ、それが・・・」
男に連れて行かれたのは、ヴェクサの屋敷だった。
そこには数人の住民が集まっており、ヴェクサが来た途端に皆駆け寄って来る。
そこから、ヴェクサは住人の話を聞いて行方不明になった者の確認に走り回っていた。
「どうやらいなくなったのはここのおやじだけじゃないらしい。街で聞いた話だと、少なくとも10人は行方不明になってる」
少なくとも、と言う事は、まだ居ると言うことだろう。
ヴェクサの聞いた話では、どうやら昨日のうちに10人以上が行方不明になったが、その前、行方不明になった者たちには何の異常も見れなかったという。それどころか、朝方には元気で、普通に居たのにいきなり居なくなったという者もいるらしい。
「・・・・・・・・」
「鬨、悪いが俺はここの長として動かないといけない。一人で宿まで帰れるか?」
「―――いや、俺も手伝おう。どうせ戻っても暇だしな」
「それは・・・正直助かるな・・・。でも、お前は無理するなよ。なンかあったらすぐ休め。今、皆に呼び掛けて人を集めてもらってる。俺の屋敷に集まってもらうように言ってるから、もうすぐ人も増えるだろ」
短くそう説明をしたヴェクサは、早速集まり始めた住民に捕まっていた。
作品名:無題Ⅰ~異形と地下遺跡の街~ 作家名:渡鳥