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無題Ⅰ~異形と地下遺跡の街~

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「      」

ヴェクサはなにか、音を聞いた気がしたが、轟音のせいで聞こえなかった。…いや、違う。聞き取れる音ではなかった、と言った方が正しいだろう。それは、人々が失った「技術」で作られた「音」だった。石は媒体だろう。そうヴェクサは判断したが、判断しただけで、理解はしていない。何が起こったのかわかっていない。「何」が起こされたのか、「解らない」。投げられた石は、その鬨の「音」を聞くなり弾け、二人の周りに薄い膜を張った。
しかし、その薄い膜は意外にも降りかかる石をはじき返していく。

それは、とても弱い種類のものではあったが、媒体がないと碌に発動できないような、そんな微弱なものではあったが、しかし、それは正真正銘の「魔術」だった。

そしてそれは、すでにこの世界では「禁忌」とされているものだった。