ココロノオト
空を飛ぶ少女
少女は空を飛んでいた。
見えない羽根をつけて、どこまでも続く青空を。
何からも縛られることなく、風を感じてどこまでも飛んだ。
空を飛ぶ少女は自由だった。
雑踏のざわめきも、人とのしがらみも知ることはなく。
自由の代償に孤独を感じて。
少女はふと地上を見た。
孤独を受け入れた引き換えに得た自由が哀しくなって。
この広く、大きすぎる青空を見上げてる人を見つけたくて。
そこには、空を見上げている少年がいた。
じっと動かずに、何かを問うている視線を空に向けて。
何を問うているのか、大空を飛ぶ少女には分からない。
自由を求めているのだろうか?
少年自身にも分からない問いだろうか?
それは少女には知ることのない感情なのだろうか?
人は決して手に届かないものと知りながらもなおも焦がれると言う。
少女は空を飛んでいる。
届かない空も近くに感じることはできる。
触れることはできないけれど。
少女はごちゃまぜの感情を胸に抱いて少年を見た。
少年の瞳に溢れた涙はとても綺麗で純粋で、少女の孤独を少しだけ癒した。
少女はまた人が焦がれる空を飛んだ。
遊ぶ風を、全身で受けながら。