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Juno は きっと微笑んだ

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「ご結婚なさるんですね、お二人・・話が少し聞こえたものですから・・」
「はぃ、ここで 結婚式挙げたいらしいので・・それで、です」
「見かけないお顔でしたが・・」
「ここの信者さんではないですから」
「そうですか、どちらの・・」
「どちらでもないんですよ・・これが・・」
「なるほど・・なんとなくわかりました」
そうですかって、うなずいてそれなりに理解って顔だった。
「お式のお手伝いができれば うれしいですね、わたしも・・」
「そうなったら、よろしくお願いしますね、あっ、ちょっと聞いていい、林さん・・」
「はぃ、なんでしょう」
「信者ってどういうことなんだろ・・ほら、さっき、俺のこと立派な信者とか言ってたでしょ・・でも、俺寄付もしないし、ミサも来ないし、なんか、手伝うって事でもないけど、この教会で・・」
こっちに引っ越して来てもうすぐ1年だったけど、行事の手伝いなんて1回もしたことが無かった。
「うーん、そうですねぇ・・そういう意味だと、ちょっと違いますけど・・劉さんは、よくここでお祈り捧げてらっしゃるじゃないですか・・たしかに、皆さんが集まる時間ではないですけど・・なので、さっき立派な信者さんって言ったんですが」
「ふーん・・そうですかぁ・・」
俺の場合は祈ってるって感じでもなくて、いつも、どうもって感じでご挨拶ってのが当たってるような気がしていた。
「同じ信仰を持って、お祈りを捧げれば・・それはもう立派な信者さんであって、ここの信者さんに間違いないと思いますが・・わたしの考えでよろしければですね、今の話は・・」
「そうですか・・」
「はぃ、わたしは、そう思います」
クロスをきって、祭壇に向かっての林さんだった。
「ここは、もう暖房切りましたから、寒いでしょうから、よかったらわたしの部屋でお待ちになりませんか・・」
「いえ、なんとなく 今日はここがいいんで・・」
「そうですか、なにかあったら、そこの電話とってくだされば、わかりますので・・」
壁につけられた内線電話を指されていた。
「はぃ ありがとうございます」
「では、失礼しました」
足音を小さく聖堂に響かせて、静かに隣の部屋に林さんはだった。

広い静かな聖堂の長い椅子に座って、祭壇のキリスト像を眺めていた。所詮はただの作り物だったけど、所詮それはそれで、いいのかって思ってた。カソリックの教会でそんな事を言っちゃいけないんだろうけど、ステファンさんになら笑って終わりそうな気がしていた。
ちいさい子供の時はただの変なお人形だったけど、祈りをささげりゃ、間違いなく十字架背負ったキリストだった。
偶像崇拝も宗教革命もそんな難しい事は、俺には関係ないことだった。
ここは間違いなく好きな場所だった。それだけだった。