小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
にわたずみ
にわたずみ
novelistID. 24731
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

雨のち快晴

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 


 しばらくしてから、ポケットの中の携帯が震えた。見ると拓からの電話。少し躊躇したが、出ることにした。無視をすれば余計に怪しいと思われそうだ。
「もしもし?」
「涼さん?」
「うん、どうしたの?」
「今、大丈夫?」
「え、と。うん、まぁ。」
何だか電話越しの声は、怒っているように聞こえる。
「ねぇ、今誰といる?どうしてる?」
「え?」
「家に誰といるの?」
「友達、だけど。さっきも言ってたじゃん。」
忘れちゃった?となるべく明るい声を出す。
「何も周り音してないけど。」
「や、別室に。」
「嘘でしょ。」
いつもの優しい声とは違い、とても冷たく怖かった。
「浮気?」
「ちがっ!!」
「ですよね。だったら物音するもんね。やっぱり一人でしょ。」
「え、と…。」
「何で嘘ついたの。体調悪かった?今日何か変だったよね。なら何で言ってくれなかったの?」
責めるような声に、声が出しづらい。
「別に大丈夫だよ。何でもないんだ。」
「何でそうやって隠すの。」
「隠してない、本当だって。」
「嘘、何かあるんでしょ。」
「何でもないよ、大丈夫大丈夫…」
「涼!!」
いきなり電話越しに怒鳴られて、身体がびくっと固まる。
「…もう、いいです…。」
絞り出すような声を最後に、電話は切れ、ツーツー、という音だけが響いた。俺は呆然とし、そのまま携帯を床に落とした。携帯はカシャーンという無機質な音をたてた。どうして拓は怒っていたんだろうか。どうして嘘がばれたんだろうか。もういいって、俺は、また。好きな人を失うのか。
「いやだ。」
ひとりにしないで。おいてかないで。

作品名:雨のち快晴 作家名:にわたずみ