小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

氷解き

INDEX|5ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

 母と姉は息子を心配し、絹の元へと相談に訪れた。
その晩のことを訊ねると、二人が明日の天気を占うために氷解きを行い、いざ鹿の骨で氷を叩き割ろうとした時、ぬうと息子が現れて、なんでも硯を落として氷を砕いてしまったそうだ。
そうすると氷の割れ目から、白銀の狐が一匹躍り出た。
狐は部屋をぐるりと回って息子の首に巻き付いた。ケーンと一声高い声で鳴くと、家の外へと飛び出した。後は絹の見た次第であった。
 
 母と姉が事情を話し終えると、絹は昨晩桶に張ったばかりの氷を持って来た。昨夜は新月が空に浮かんでいた。
それを使って息子の消息を捜し当てようと言い出して、あっという間に氷解きを終わらせた。
 どうやら息子は北の林の中ほどにある、ブナの木の根元に居るようだった。
 
作品名:氷解き 作家名:にょす