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水底

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 夕方になって家へ帰る。
電気を付けると魚が居た。
ゆらゆらと揺れるひげや尾びれ、その下には壁に頭をぶつける際落ちる鱗がきらきらと光って見えた。
今朝家を出る時にはまだ口をつけていなかった昨晩の料理が、すっかりなくなっていた。
きれいに食べるもので、米粒ひとつとして皿の上には残っていなかった。
 しばらく魚を眺めた。
背中にはさまざまな種類の苔が繁茂している。
ひげはもちろんのこと、尾びれも長く、半透明である。青緑色の鱗の上には金色に光る粒が見える。目は大きく、深い藍色をしている。覗き込むとこちらの顔が映った。
びくりと魚が動き、口からたくさんの気泡を吐き出した。
頬のあたりに泡が付き、不快に感じたので観察をやめた。
作品名:水底 作家名:にょす