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コトコリの書庫

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「ああ、いえ、特に・・・
私たちの頭の中にも、動物の脳が入っているってことで、ええと、それで夕日とかがきれいに見える。みたいな。」
「おおよそそのような所です。」
そう言ってプロフェッサー・コトコリは紅茶をカップへ注いだ。もうずいぶんと渋くなってしまっている。
「特に質問はありませんか。」
「質問・・・」
プロフェッサー・コトコリへの質問は確かにあるはずだったが、ぼんやりとしてうまく纏まらない。
今回の議題についてなのか、この書庫のなりたちについてなのか、プロフェッサー・コトコリの年齢についてなのか、首長ウサギ類の標本の真偽についてなのか、それとも曾祖母についてなのか、あるいは私自身についてなのか、すべてが入り混じってゆき、ひとつの言語として成り立たない。
これもつまりは、『ごく原始的な脳』のはたらきによるものなのかもしれない。

作品名:コトコリの書庫 作家名:にょす