月の子供
それから黄色いテープに【カグヤ】【シロウ】と名前を書いて、煮干しをぶら下げている物干竿の両側に貼っておくことにした。
するとおもしろいもので、二人の煮干しの食べ方が異なることに気が付いた。
カグヤは煮干しのしっぽが苦手と見えて、必ずしっぽを残して帰る。シロウは頭が苦手と見えて、頭だけを残して帰ってゆく。お互い分け合うということはしないようだった。
猫がいなくなってからというもの、夜に眠るのが下手になっていた。
布団に潜り込んでもなかなか寝付くことができない。目を閉じていても刻々と過ぎてゆく時間ばかりがありありと感じられるだけで、眠気がやって来る気配は一向になかった。そうして目を閉じたまま、眠ることもなく朝を迎える日々が続いた。
薄く眠ったふりをし続けていると、夜更けに月の子供らが物干竿の煮干しを食べに来る気配が感じられた。ころころと密やかな声で歌いながらやって来る。
窓に写る彼等の雨合羽は、夜に映えてより一層白く浮かんで見えた。
するとおもしろいもので、二人の煮干しの食べ方が異なることに気が付いた。
カグヤは煮干しのしっぽが苦手と見えて、必ずしっぽを残して帰る。シロウは頭が苦手と見えて、頭だけを残して帰ってゆく。お互い分け合うということはしないようだった。
猫がいなくなってからというもの、夜に眠るのが下手になっていた。
布団に潜り込んでもなかなか寝付くことができない。目を閉じていても刻々と過ぎてゆく時間ばかりがありありと感じられるだけで、眠気がやって来る気配は一向になかった。そうして目を閉じたまま、眠ることもなく朝を迎える日々が続いた。
薄く眠ったふりをし続けていると、夜更けに月の子供らが物干竿の煮干しを食べに来る気配が感じられた。ころころと密やかな声で歌いながらやって来る。
窓に写る彼等の雨合羽は、夜に映えてより一層白く浮かんで見えた。