むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3
黙って世の中を支えて消えていく男達。彼らがいて歴史は回っていく。物語も現実と同じ。誰か石組みとなる人間が必要なのだ。その石組みは多いほうが良い。そうすれば物語という城は堅くなり、深い影が生まれる。もとより影のないものは存在しえないのだ。作品も、人も同じ。ギャルゲーも……本当にギャルゲーを大事に思うのであれば、ゲームに陰影をつけてやるほうがいい。それが作品としての深みになり余韻となる。
それは丸山花世だけではなく、大井弘子の意見でもある。
――男の子。深みのある男性。そういうキャラも大事に作っていきましょう。
妹は姉との打ち合わせでそのような指示を貰っているのだ。
「ギャルゲーだからって……女だけ出しときゃいいっていうのは作り手の怠慢だよな。物語を選ぶのはプレイヤーなんだから」
丸山花世はノートに書きこんでいく。
男性キャラ。タイニーのほうは……主人公の友達A。B。それからほかにも何人か。アルバイト先の男性従業員。本家のほうも男性キャラを構築。教員。校長。それから友人。学校の先輩。
「うん……こんなところか……」
友人達の性格については主人公のキャラとは対極であったり、あるいは、非常識な人間。
――いまでのエターの主人公がなんか……幼稚でムカツクんだよな。もうすこしまともな人間にしたほうがいいか。
主人公は常識的で、普通。誰でもが入り込んでいけるパーソナリティ。と、なれば、友人は世話焼きだったり、影を帯びていたり、元気のいいスポーツマン。あるいは……数学であるとか、丸山花世が大嫌いな化学といった理科系に極端に強いとか。
――苦労人。物事を分かっているキャラも必要だよなー。
それはキールというべきもの。文字通りの竜骨として作品を支えるキャラクター。そいつがいなければ作品が成立しない。
――ジャンプとかの少年マンガは……竜骨と主人公一緒の場合が多いよな。ドラゴンボールのゴクウとか。
もの書きヤクザは思っている。けれど必ずしも大黒柱は主人公と一致しない。まったくの別キャラという場合もあるのだ。
――ガンダムだったら……シャアだっけ? 敵のにーちゃん。あいついねーと作品、しまりがなくなるよな。
作品名:むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3 作家名:黄支亮