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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3

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 ――うん。タイニーのほうはそんな感じでいいか。
 丸山花世は金属製のボールペンでもってさらさらとノートに作品についての雑感を書き込む。
 ――本家エターのほうは……同じようにクラスメイトが一人。別のクラスの子が一人、学校の先生は使わんで、代わりに先輩。学外に知り合いの女の子。で、年上の美人……。
 名前についてはあとでまた考える。
 「……む。こんなところか」
 さらには……女性陣だけでは話がいびつになる。
 ――エターシリーズやってみたけど……どうも物語がしまらないんだよな。きりっとしたところがない。
 丸山花世は自分が関わる作品の一作目から五作目までを思い出している。あんまり代わり映えのしない作品。作り手の成長のあとがまったく見られない作品。必要以上にお涙を誘おうとする作品。悪くはない。悪くはないのだが……物足りない。それは、男性キャラがしっかりしていないから。
 ――女子キャラがメインの作品でも男キャラは大事なんだよなー。
 丸山花世は思っている。
 ――男は枠組み。男キャラは土台。
 この枠組みがしっかりしていないと作品は出来損ないの豆腐のようにぶよぶよしたものとなる。
 ――男性キャラ。魅力的なキャラがいなければ物語りは成り立たねーよな。
 丸山花世は女。そして女だから分かることというものがあるのだ。
 「富沢さん……それでは、次の分を訳してください!」
 現実ではありふれた、だが、ギャルゲー業界では珍しい、美人でない老婆とも言うべき女教師が何か喚いている。その様子をもの書きヤクザはじっと見つめている。
 ――歴史を作るのは男。それが悔しいっていう女が時々いる。
 色黒でゆがんだ顔をした猪首の中年女教師。そいつは間違いなく、歴史を作る男に腹を立てている人物。
 ――女性でもやっていけるのです! 皆さん!
 大島という女教師は、女子高の教員だからか、しばしばそのようなことを言って生徒達を……というか、残り時間の短くなった自分を鼓舞するするのだ。でも。丸山花世は教員殿の意見に与すということはない。
 ――やっぱり歴史は男が作るもんだよ。戦争で死んでいくのは男なんだから。