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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3

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 なんとなく察せられるということがこの世にはある。
 「仲が悪い?」
 「その通りです。丸山さん。キンダー組とサイゴン組はしっくりいっていません」
 「同じ会社だから仲良くやりゃいいのに……」
 「スタッフ全員が四十近くなって……しかも全員が若い時に分際を超えた成功を味わってますから、膝を屈するなどもうできないのですよ。全員が大人になりきれない、幼稚園児みたいなものですから」
 まさにキンダーガーデン。
 「……そりゃそうだ。って、16CC、うまくいってないの?」
 「経営のことまでは分かりませんが、サイゴン組がいろいろと開発で不手際を起こしているということは事実みたいです」
 「不手際?」
 「いろいろとシューティングゲームの移植をしようということで権利を集めていたのですが……」
 「いたのですが?」
 「発売元を予定していた某コンシューマーゲーム機のメーカーからの支援を拒絶されたとか、そのようなことを聞きました。まあ、古い時代のシューティングゲームを移植されても売れるのは千本程度ですからね。利益なんて出ませんよ」
 しみったれた話を聞かされる小娘の顔も渋い。
 「なんで、その井守って言う人はそんな売れもしないシューティングゲームにこだわってんの?」
 もっと売れるもの。時流にあったもの。そういうものを探すのがプロデューサーの役回りではないのか。
 「井守はもともとシューティングゲームのメーカーの人間だったんです」
 「思い入れって奴?」
 「郷愁。かつての栄光。そうでなければ自分の得意分野に対する自信。あるいは自分を解雇した会社に対するあてつけもあるのか。とにかく16CCの二つあるラインのうちサイゴン系は難儀している。まともに機能しているのは市原のエターだけ。それが16CCの現状です」
 「なんかさ……」
 冷徹な三神を前に小娘はため息をついた。
 「……ひどく、明日が遠く感じられるんだけど。16CCの」
 「そうですね」
 三神は顔を曇らせた。それは冷徹で変態なプロデューサー殿にしては珍しい表情。
 「その通りです」
 「エターナル・ラブ、か……永遠なんて、ありえないよね」
 「そうです」