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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3

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 「ですから尊大になるのです。敗北感を抱えていますから。雄飛できない弱さの裏返しとしての居丈高。そこで、トラブルを起こす。一方で技術は高いですからね。キンダーでも役員に対してかなりずうずうしい態度を取っていたものです。まあ、それを許してしまう役員が良くなかったのですが、エターはその時キンダーの稼ぎ頭でしたからね。俺たちがいなければ何も回らないんだというおごりが間にもあったのでしょう。丸山さん。慢心という疫病神は決してハートの強い人間のところにはやってきません。ハートの強い人間は自分の本当の姿を見て怯えませんから。慢心する人間は心が弱いのです」
 「うーん……」
 「とにかく間とはそういう男です。私は彼の技術は評価しますが、ですが、一緒に仕事はしません。彼と同じぐらいの技量でもっと若い、性格に優れた人間はいますから」
 「なんとも……ねえ……」
 丸山花世は鼻白んでいる。
 「間には……ですから、気をつけてください。彼は本質的にトラブルメーカーです。大井さんにもお伝えください。まあそちらのほうも折を見て話そうと思っていたことだったのですが……」
 三神はおかしな人間だが、おかしな人間だからこそ信じられるのだ。自分がおかしいということを明言している人間は、まともではないが、嘘はついていない。
 そして、丸山花世はおかしな顔を作った。
 「えーと、あのさ、そちらのほうは……ってことは、なんかまだ別にスタッフのことでおかしなことがあんの?」
 そちらということは……こちらやあちらがあるということだろう。いったい16CCはどれだけトラブルを抱えているのか。三神は言った。
 「はい。と、言っても、これは噂なのですが……」
 「うんうん……」
 丸山花世は裏事情という言葉がかなり好きなほうなのだ。
 「実は……16CCには、市原たち、キンダーとは別に、ほかの潰れたソフトハウス……サイゴンプロというところの人間も合流しているのです」
 「サイゴンプロ……知らんな」
 小娘は首をかしげた。そんなところは当然知らない。
 「もう何年も前に潰れたところなのですから。とにかく、そのサイゴンから井守という男が16CCに入っている。16CCのゲーム生産ラインはですから、市原たちキンダー組と、井守のサイゴン組と2ライン体制なのです」
 「ふーん……」