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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3

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 「誰かから揚げ足を取られないか。誰かから恥をかかされないか。強迫神経症です。それが完全主義者です」
 「間っていうのはそーいう人だと?」
 「そうです。人から嘲りをうけたくない。侮られたくない。コンプレックスです。そのコンプレックスから作り手は技量を上げようと努力をする。それは決して悪いことではない。物事が上達するにはある程度そういう部分は必要ですから。ですが、技術を磨き、自分の作品をいくつか作ったその時点で作り手というものはすべからく気がつくのです」
 「何に?」
 「自分がどんなに頑張っても完全にはなれないと。そして、自分の歩いてきた道を振り返る」
 「……振り返る」
 「振り返って気がつくのです。自分の歩いてきた道がどれほど眩いか。自分が手がけてきたおんぼろの作品がどれほどかけがえのないものであるか。そうなると人は、技術を磨くのではなく自分を磨こうとそう思うようになる。技術というものは本当はどうでもいいものなんだと理解するからです。大事なのは自分であり続けること。自然体の自分を届けること。それこそが大事なんだと」
 丸山花世にとってはそれはなんとなく共感できる話。文章力は志望者の最後のよりどころ。
 「……間っていう人は違うん?」
 「はい。間は……本当の意味で作品を作っているわけではありません。少なくとも、本人はそのようなコンプレックスを抱えている。彼は、色を塗っている塗り屋です。色を塗っているだけ。綺麗に色を塗りますけれどね。本人は原画をやっている越田や、ピンでやっているともちかに対して自分が一段低いものだと思っているところがあるのです。そして、事実、彼は原画家やピンでやっているイラストよりも劣っています」
 「……」