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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3

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 ◆三 激突
 
 「女子五人×二。で、あとはもろもろキャラ……」
 丸山花世はぼそぼそと口の中で呟いている。
 どうも英語の授業をやっているようだが、物書きヤクザは当然のように聞いていない。
 「名前、名前、名前……」
 名前は大事。名前は言ってみればキャラの核。
 ――ミッキーマウスはもともとモーティマーマウスだった。
 丸山花世は姉からそのような事を聞いている。そしてもしもモーティマーマウスだったら、果たしてあのネズミ野郎はここまでファンに愛されただろうか。
 「名前は……命だよなー」
 小娘は呟いた。
 ――名前とキャラの雰囲気。花世、あなた決めなさい。
 大井弘子はそのように妹に言った。それは面倒な作業であるが同時に名誉なこと。
 「タイニーで女子五人。本家で女子五人……結構しんどいよな」
 ありがたいことに 小娘は女子高に通っており……で、あるから、あたりを見ればサンプルはいくらでも転がっている。
 「吾妻有紀。磯田真琴。江原瞳。城所あゆむ……」
 丸山花世は自分のクラスの女子生徒名を右手斜め前からぶつぶつと呟く。
 英語の教師は何かの構文を喚いているが……それは丸山花世にはどうでもいいこと。窓の外には夏空。古い校舎は冷房の効きがいたく悪い。
 「小島かな。島田深雪。島田史菜……うちには島田二人いっからな……」
 ぶつぶつとクラスメイトの名前を呟く丸山花世を、まわりの生徒達も気味悪そうに見ている、だからと言って、
 ――静かにしろ。
 と注意するでもないし、
 ――何言ってるの?
 と声をかけるでもない。友人達はみんな知っているのだ。この小娘はまともではないと。そして。
 「大島啓子……」
 丸山花世はぼそっと言った。そいつは講壇の上で何かを説明している六十近い女性教師の名前。
 「大島……」
 小娘はぼんやりとしている。
 ――女子。ゲームのヒロイン。まずは本命の子。対抗馬でもう一人クラスメイト。あとは後輩。それから……学外に一人。最後は先生。で、五人。
 ちなみに女教師は美人。たが。
 ――大島はそんなに美人ではないよな……。
 丸山花世は英語教師の顔を見ている。色黒でしわも多い。大島啓子は今も美人ではないが、かといって若い頃も美人ではなかったのに違いない。