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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編3

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 プロットがあがり、ブラン、16CC双方からゴーサインが出てすでに一週間。
 妹はほとんど家には帰らず、姉の部屋と学校を往復している。もっとも、そのことで両親が心配するというようなこともないのだ。おかしなところに出入りして警察沙汰になるならば、姉の部屋で軟禁しておいて貰ったほうがよほどまし。丸山花世の両親はそのあたりとてもドライである。
 ――相当のお金もいただけますし。
 という大井弘子の言葉も、当然だが小娘の製造元には響いたようである。
 今のご時世、資格など役に立たない。手に職、それも普通の人間ではちょっと難しいような技術がなければ生きていくことはできない。丸山花世の両親はそう考えているのだろう。
 と、言うわけで、合宿のようなシナリオ製作は続くのだ。それはまるで兵隊蟻の行進のよう。
 「ああ、そうだ、花世……」
 「ん、何? まずいところあった?」
 妹はチェックをしている姉見上げる。
 「ううん。よく出来てる。とてもいいできね。オッケーよ」
 「うん……それは……うん」
 煮ても焼いても食えない生意気女。けれど……作品を褒めれればちょっとはテレもする。
 「主人公、おせっかいだけれど優しい。強いし。あかりのことだけを見ている。ちょっと朴念仁だけれど、こういう人に愛される女は幸せでしょう」
 「……なんかさー、アネキが言うと、ねえ」
 「……男運が悪い女のため息に聞こえる?」
 「……」
 大井一矢の言葉に小娘は複雑な笑みを作った。この人には多分一生かなわんだろう……。
 「えーと、それで……」
 居心地が悪くなって小娘は尋ね、そこで大井弘子は言った。
 「明日、ブランのほうに行ってくれないかしら?」
 「三神のにーちゃん? 何か用でもあんの?」
 「ええ。なんか渡すのを忘れた資料があるんですって。それを取りに来てくれって」
 「ふーん。明日でいいの?」
 「ええ。都合のいいときに電話をくれって」
 「あい。りょーかい」
 妹は言った。丸山花世の本日の業務はそろそろ終わり。姉に後を引き継いで本人は就寝。その前に一っ風呂。
 「アネキ、タオル借りる」
 「どうぞ」