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デッサンは4日目に完成する

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【三日目】

 デッサンは完成に近づいていた。あとは単純な仕上げのみで完成という時に、僕は鉛筆を置いて、彼女に向かって声をかけた。
「今日はこれで終わりにしよう」
 彼女は不審そうに首をかしげ、「あともう少しじゃない?」と囁く。その仕草までとてつもなく優美にみえた。
「この仕上げには、とても時間がかかるんだ。単純なことなんだけれどね。それをする前に、君にお願いしたいことがあるんだ」
「お願い?」
 きょとんと眼を丸くする。そんな彼女の右手に、僕の左手が触れる。顔と顔の距離も狭まって、唇が触れ合う前に鼻と鼻が触れ合って、二人ともわらった。
「僕の家に来て」
「……え」
「君を紹介したいんだ。僕の、両親に」
 顔を真っ赤に火照らせた君なんて、もうこの先一生みることはないんじゃないかな。
 そんな姿さえデッサンに残したいと思うくらいに、僕はもう存在ごと彼女に惚れ込んでしまっている。